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建設経済新聞社
2018/01/22

【京都】舞鶴−三田ガスパイプライン 敷設概算費約260〜400億 平地区のLNG基地は650億

 京都舞鶴港から兵庫県三田市付近に至るガスパイプラインの敷設等について検討してきた北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会(座長・内藤克彦京都大学大学院経済学研究科特任教授)は19日、第8回会合を開催。パイプライン敷設の概算費用などの調査結果を報告した。
 同研究会は北近畿におけるLNG(液化天然ガス)基地や広域ガスパイプライン整備について研究を行うため、京都府と兵庫県が共同で27年9月に設置した。同研究会が取り組みを進める中、国においては28年5月の第32回ガスシステム改革小委員会で導管整備方針案が提示され、新潟−舞鶴−三田ルートが費用便益分析を行う複数のモデルケースの一つとして位置付けられた。
 京都府は29年10月、高速道路を活用した舞鶴−三田間ガスパイプライン敷設費用調査業務について、一般財団法人国土技術研究センター(東京都港区)と324万円で契約し、30年2月末までの工期で調査を進めている。
 29年12月末にまとめられた中間報告で示された調査結果によると、ガスパイプラン導管敷設の概算費は約(一般道ルート)230億円〜(高速道路ルート(主に側道))370億円と算出。これに必要なガス供給設備の費用(想定)34億3500万円(▽バルブステーション12億8500万円(建設費4億4000万円×2ヵ所+用地費4億0500万円)▽ガバナーステーション21億5000万円(建設費5億5000万円×2ヵ所+用地費10億5000万円)▽ブースターステーションは0(600Aの場合、100qごとに必要とされるため不要と判断))を加え、整備費用は約260億円〜400億円(2億6000万円〜4億円/q)と算出した。参考として整備費用が2億6000万円〜4億円/qの舞鶴−三田間は、損益分岐点が年間38万t〜59万t程度とした。古河−真岡幹線パイプライン(6億円/q)と比較しても安価に整備が可能とした。
 高速道路ルートはシールド工法の区間が17・8%と多く、トンネル部分は一般道等へ迂回すれば整備費用の削減が可能とした。
 一般道ルートと高速道路ルートは費用が約140億円と大きな開きがあるため、調査結果を踏まえ、高速道路のメリット(連続施工可能で工期が短縮され工事費が安くなる可能性がある、敷設の協議先が西日本高速道路や市町村等に集約され計画から完成までの期間が短縮される可能性がある、高速道路は上下水道管などの既設埋没管が少ないため既設管の移転費用が発生しにくい)など工事費以外からの視点も含めて今後検討する。
 第8回会合では、京都舞鶴港平地区のレイアウト図を基に、誘致を目指すLNG基地等のシミュレーションについても報告した。
 舞鶴市大波前田765−12(京都舞鶴港平地区内の約15f)で、規模はタンク容量18万KL級のLNG基地、発電出力20万kw級のLNGコンバインドサイクル火力発電所を条件として机上でシミュレーションした。
 LNG基地のタンク容量を18万KLと仮定した場合、既存のLNG基地事例を参考にすると、設備投資額は650億円程度と見込む。
 京都府は、パイプラインやLNG基地に関心のある複数の事業者と意見交換を行う勉強会を開催しており、今後実施する勉強会での意見を踏まえた、整備実現に向けた取り組みを進めるなどし、国の有識者会議への舞鶴−三田ルート提案に向けた準備を進める。
 なお府は関連業務として京都舞鶴港スマート・エコ・エネルギーマスタープラン作成業務を2686万8000円で、LNGプロジェクトポテンシャル調査・分析業務を289万2000円で日本総合研究所大阪本社(大阪市西区)とそれぞれ29年7月に契約した。