京都市上下水道局は、新山科浄水場導水トンネル築造工事のルート検討について、市会産業交通水道委員会に報告した。
既設の導水トンネルを活用した導水施設のバイパス化による大規模災害時等のリスク分散の効果が見込まれる2ルートについて、経済性及び施工性を比較検討した。
ルート@の蹴上取水池と新山科浄水場の区間において全線公道を通るルート(5580m)は概算事業費が210億円、施工性等は急曲線施工が8ヵ所、地権者なし。ルートAの蹴上取水池と新山科浄水場の区間において一部民地を通るルート(5230m)は概算事業費が200億円、施工性等は急曲線施工が4ヵ所、地権者2者(民地使用の了承済み)。なお急曲線施工は、シールド工法において曲線半径概ね30m以下を施工するため、シールド機周辺の崩壊防止等を目的とした様々な補助工法を行う必要がある。
検討の結果、事業費が抑えられるとともに、急な曲線部が少なく、延長も短いため施工性にも優れるルートAを採用することとした《図の左側の太線》。
このほか、蹴上取水池と新山科浄水場の区間において山間部を通るルートは多くの地権者(約40者)と調整する必要があること、日ノ岡取水池と新山科浄水場の区間において既設トンネル付近を通るルートは大規模災害時等にリスク分散の効果が得られないことから採用しなかった。
新導水トンネルの延長は5230m。深さは山間部が50m〜170m程度、公道部が20m〜70m程度。
新導水トンネルは、トンネルの壁となるパネル(セグメント)を組み立てた一次覆工の内側に内挿管を布設した耐震性を有する構造とする(外側から一次覆工(セグメント)→エアモルタル充填→口径2・6mの内挿管)。
新山科浄水場に発進立坑(円形、内径約13m)、蹴上取水池内に到達立坑(円形、内径約5m)を設置する。
主な工事は、シールド工としてシールド工法でトンネルを掘削する。セグメント外径は3・8m。内挿管布設工としてトンネル内に内挿管(口径2・6m)を布設する。立坑内に鉄筋コンクリート構造物(発進側は円形・内径約5m、到達側は円形・内径約4m)を築造する。
工事場所は山科区勧修寺丸山町(新山科浄水場)〜山科区日ノ岡一切経谷町(蹴上取水池)。
WTO案件の新山科浄水場導水トンネル築造工事は昨年12月25日に公告した(5社の特定建設工事JV等)。開札日時は3月13日10時。
予定工期は2017年度〜2027年度(2028年2月15日)。
新山科浄水場と蹴上取水池において、既存の施設と連絡させる管路等の整備を行う付帯工事を別途実施する。2024年度〜2027年度に付帯工事を実施し、2028年度以降に新導水トンネルの運用を開始する。
新山科浄水場第2導水トンネル築造工事に伴う測量、調査及び設計はパシフィックコンサルタンツ(京都市下京区)が担当。