高知県は、牧野植物園磨き上げ整備の基本構想を公表した。2018年の開園60周年に向け、すでに予算化されている「ファミリー園」「スタディ園」(いずれも仮称)の整備を進める他、19年度以降の中期整備目標として、既存展示スペースをバーチャルリアリティーやお宝展示スペースに改修、資源植物研究センターを建て替え「新研究棟」(仮称)を建設することなどを盛り込んでいる。
「ファミリー園」は、本館と展示館を結ぶ回廊と南園の間に位置する敷地面積約1万4000平方bに芝生広場、野外ステージ、展望デッキなどを整備。「スタディ園」は、回廊北側の敷地面積約9000平方bに、植物の有用性を学ぶことができる場を整備する他、学校の学習プログラムを実施するための学び舎(や)を建築する。
両園の整備に向けては、造成工事、建築工事、施工管理を含め、12月補正予算に1384万円を計上、18年度の債務負担行為に5億1267万円を設定した。造成・設備工事は2月まで、建築工事は4月までに発注する予定で、11月のオープンを目指す。
19年度以降の中期整備目標には、既存展示館内部改修、新研究棟建設、駐車場対策・狭隘(きょうあい)道路の解消、南海トラフ地震対策として長江圃場の津波対策などが挙げられている。
このうち、既存展示館内部改修では、バーチャルリアリティーなどの映像システムや、牧野富太郎の植物画などの展示スペースを整備する。7月ごろ展示館改修の基本設計に着手し、並行してバーチャルリアリティーと映像ソフト制作に取り掛かる。展示館改修に向けては、19年度早々に実施設計、11月ごろ改修に着手予定で、20年度のリニューアルオープンを目指す。18年度当初予算には委託料2398万円と、19年度以降の債務負担行為として3億0991万円を見積もっている。
新研究棟は、現在の資源植物研究センターを建て替え、オープンリサーチ機能を備えた施設とし、眺望を生かしたレストランやショップも設置する。これに合わせ、狭隘道路の拡幅、第1駐車場からのバリアフリー通路、新たな南門の設置、園内施設再配置といった周辺エリアの改修も進める。
18年度は、6月ごろ敷地造成と狭隘道路の測量設計を外注する予定で、許認可の手続きや地質調査も含め、委託料2820万円を当初予算に見積もっている。新研究棟建築に向けては、基本設計を9月ごろ外注予定で、委託料1298万円を当初予算に見積もっている。
19年度は、既存建物の撤去と狭隘道路工事、造成工事を5月から進める予定で、新研究棟の実施設計も進める。20年度早々に新研究棟建築工事に着手、21年度中の完成を目指す。
青柳中学校の近くにあり、バックヤードとして希少種や貴重な植物を保存している長江圃場は、津波浸水予測区域内にあることから、時期は未定ながら、植物の高台移転などを今後実施する方針。
基本構想の策定に向けては、16年8月に検討委員会が設置され、複数回の協議を経て、今後取り組むことを取りまとめた。「世界に誇れる総合植物園」として、牧野植物園のポテンシャルを最大限発揮し魅力を高めるための取り組みを進める。
提供:建通新聞社