高知県は、2025年度までの9カ年度で、耐震化促進の施策や目標数値などを定めた「高知県耐震改修促進計画(第2期計画)」を策定した。25年度末に住宅の耐震化率93%(15年度末77%)、多数の人が利用する建築物の耐震化率97%(同83%)などの目標を掲げ、需要の掘り起こしや供給能力の強化に取り組み、全ての建築物の耐震化を促進する。
県では、06年度に第1期計画を策定し、その後も必要に応じ改定をしていたが、これまでの取り組みで見えてきた課題や熊本地震からの教訓を踏まえ、全面的に改定した。「住宅」「多数の者が利用する建築物」に加え、耐震診断義務付け対象建築物としている「要緊急安全確認大規模建築物」「防災拠点建築物」「避難路沿道建築物」について耐震化の目標を設定する。
このうち、住宅については、15年度末の耐震化率77%を20年度末に85%、25年度末に93%に引き上げることを目標とした。「多数の者が利用する建築物」は、15年度末の耐震化率83%を20年度末に93%、25年度末に97%とする。
耐震診断義務付け対象建築物では、学校や病院、ホテルなど不特定多数の者が利用する「要緊急安全確認大規模建築物」について、県と高知市が今年1月に対象となる60棟の耐震診断結果を公表した。耐震性不足となった建物では、今後耐震改修か建て替えが進められる予定で、25年度末までに耐震化を概成させる。
地震発生時に応急対策活動の拠点となる建築物や避難所となる「防災拠点建築物」については、第1期計画期間中に163棟を指定、16年度末までに46棟の診断結果が報告されている。第2期計画では新たに13棟を指定した。25年度末までに耐震化を概成させる。
緊急輸送道路の沿道にあり、一定の高さ以上を対象とする「避難路沿道建築物」については、332棟の建物で耐震診断が義務付けられることとなったが、16年度末現在で診断結果の報告があったのは3棟のみ。第2期計画の期間内では、高さが前面道路幅員以上の鉄筋コンクリート造16棟について、耐震化を概成させる。
県では、第1期計画の取り組みを進める中で、耐震化が必要ないと思っている人が多いことや、耐震化の費用負担が大きいことなどが課題として見えてきた。第2期計画では、熊本地震からの教訓も踏まえ、需要の掘り起こしと供給能力の強化に努める。
需要の掘り起こしに向けては、支援制度の見直しや拡充、情報提供の充実、普及啓発と実態把握などの取り組みを進める。また供給能力を強化させるため、講習会を通じた事業者の育成や技術的支援体制の整備、建築物所有者の負担が少ない工法などの開発促進を進める。さらに、ブロック塀の倒壊防止、窓ガラスや外壁タイル・屋外広告物などの落下防止、大規模空間を持つ建築物の天井崩落、給湯器や家具の転倒防止などの安全対策を進め、大地震による死者を限りなくゼロにすることを目指す。
提供:建通新聞社