日本建築士会連合会は11日、17年第8回高校生の「建築甲子園」の審査結果を発表した。
それによると、富山県代表の県立富山工業高等学校建築工学科チームの作品「夢を描きながら住まうこと〜地域を創るわかもん団地〜」が、昨年に続き優勝。大会初の2連覇を果たした。
建築甲子園は、まちづくりをテーマとした全国設計コンペで、将来の日本の建築を担う工業高校や高等学校・工業専門学校などの生徒が対象。建築科教員が監督となり、生徒が学年を問わず自由にチームを作り、作品を製作・応募している。都道府県建築士会が主催の地方大会と、士会連合会が主催する全国大会があり、地方大会の優勝作品が全国大会に参加し、トーナメント方式で優勝を争う。
8回目となる今回のテーマは、前回と同様の「地域のくらし―空き家を活かす―」。全国的に増え続け、社会問題にもなっている身の回りの「空き家」を取り上げ、その再生や活用などの提案を募った。
その結果、79校から153作品が参加。このうち、地方大会を勝ち抜いた37道府県44校、53作品で全国大会が行われ、東京藝術大学名誉教授の片山和俊審査委員長ら5人が審査を務めた。
審査を踏まえ、優勝には富山工業高校建築工学科のチームが決定。メンバーは監督(教員)が藤井和弥氏、選手(生徒)が榊原由比菜さん、新村希和さん、高柳桃花さん、早野詩織さんの4名で、いずれも3年生。
15日には、富山市の富山電気ビルで表彰式が開かれる。片山審査委員長のほか、主催者の日本建築士会連合会から廣瀬高保担当副会長らが来県。監督と生徒に直接表彰状を授与する。
優勝チームの作品は、富山の若者がもっと活躍できる場を創出するため、富山市蓮町地内にある「県営住宅蓮町団地北1号棟」のリノベーションを提案した。
選手を代表し榊原さんは、「若者にスポットライトを当て、1棟の中に様々なプログラムを入れました。若者に普及しているSNSで情報を発信するのが特徴です」と話し、「夢を追う若者が、コワーキングスペースで情報を交換し、創作スペースで作ったものはギャラリーで展示できます。立体的につながるコモンテラスを新設し、吹き抜けを作り、若者同士が会話できる場を設けることで外部に情報を発信。若者が夢をかなえる場になればと工夫しました。若者を使って地域を巻き込むことで、活性化を図る提案です」と作品のコンセプトを紹介。
優勝の結果については、「長い時間を掛けて、自分たちが考えた提案が評価されるのかが心配でしたが、優勝でき嬉しいです。今回の経験を通じて、自信にもつながりました。もっと建築について学んでいきたいです」との抱負を語った。
藤井監督は、「連覇を意識しないようにしていましたが、提案するハードルは昨年よりも高くなりました。プレッシャーがあったので、一安心です」と率直な感想を述べている。
なお、準優勝は国立舞鶴高専。北陸からは石川高専(2作品)と福井県立武生工業高校、福井高専が奨励賞となった。