竹セルロースナノファイバー(CNF)の住宅・建材分野への展開に関する協定締結式がこのほど、薩摩川内市と日建設計グループの日建ハウジングシステムを事業代表者とするコンソーシアムとの間で結ばれた。環境省の委託事業を活用して2019年度までの3年間で約7億円を投入し、サッシや窓ガラス等の製造を行い、市営住宅で遮熱などの効果検証を行う。
同市の竹バイオマス産業都市協議会に参画する日建ハウジングシステム等が、鋼鉄より8割軽い反面、5倍の強度を持つ竹CNFに着目。それを活用した建材開発と既築集合住宅への実装により、二酸化炭素削減効果の実証という課題で環境省の「17年度CNF活用製品の性能評価事業委託業務」に採択されたことを受け、本格的に動き出すことになった。
今後、既築集合住宅を主な対象にCNFを活用。省エネ効果の高い建材等の開発・設計に取り組むほか、特に熱の出入りが大きい開口部のサッシと窓ガラスをはじめ、屋根や外壁に遮断熱塗料の実装・実測を行い、効果を評価する。
開発・設計・試作を担当する企業は、CNF樹脂サッシがLIXIL、CNF遮熱合わせガラスはフィグラ、CNF遮断熱コーティング材は田島技術が担当。
締結式は同市役所で行われ、岩切秀雄市長は「竹によるCNFは国内では唯一、本市だけが生産している。住宅・建材分野への先駆的な取り組みは新しい可能性を秘め、関係企業の誘致等による雇用創出に向け取り組みを加速させたい」、コンソーシアムを代表して、宇佐見博之日建ハウジングシステム常務取締役lid研究所長は「価値を高めるきっかけとなる。汎用性のある構造集成材への研究も行っている」と意気込みを述べた。
水谷好洋環境省地球温暖化対策事業室長は「パリ協定は厳しい二酸化炭素削減目標が行われ、イノベーシヨンを起こさないと達成できない。CNFはそのキーテクノロジーとなる」と期待を寄せた。