県が打ち出した工事成績評定要領の改定案で、2018年2月から独自方式として導入する「スロープ状配点」の概要が明らかになった。これまで、評定者の裁量で選択していた評価対象項目を固定し、その達成率に応じて加点を細分化。例えば、監督員が「施工管理」の項目を評定する場合、従来は3段階しかなかった得点が13段階まで区分される。点数を切り捨てることなく、現場の汗が少しでも報われる仕組みにするのが狙いだ。
現行の評定要領は、施工管理(4点満点)の場合、まず評価対象となる12項目の中から評価者の裁量で数項目を選択する。例えば、評価者が7項目を選んで5項目が達成できたと判断すれば評価値は71%(7分の5)、5項目を選んで4項目が達成できたと判断すれば評価値は80%(5分の4)となり、この評価値に応じて得点がa(4点=90%以上)、b(2点=80%以上90%未満)、c(0点=80%未満)の3段階に区分される。だが、この計算だと、選ばれた分母(評価者が選択した項目)次第で、得点のハードルに差が生じる。
今回の見直しは、この部分のテコ入れを主眼に置いた。これまで、評定者の裁量で選択されていた分母(評価対象項目)を固定し、達成した項目数に応じて加点を細分化するスロープ状配点方式を導入。より細かいスパン(0.3〜0.4点刻み)で達成率に見合った得点域を設け、現場の努力を少しでも点数に換算できる仕組みに変える。これによって、従来はc評価(得点ゼロ)だったものも、切り捨てられることなく点数として反映される。土木部工事監査では、「難度が高いほど評価対象項目が多くなり、達成数(高評価)の可能性が増える側面もある」とみている。
これらを踏まえ、16年度に完成した土木一式工事(1011件)で最終評点の変化をシミュレーションしたところ、現行制度では80点が突出するなど凹凸が目立っていたが、改定後は緩やかな分布に近づくという。
このほか、働き方改革を踏まえた休日確保の取り組みも新たに評価。週休2日の実現率(30%、50%、80%、100%)に応じて、4段階の加算点で評定する。
最終評点は、従来の端数処理(四捨五入)による整数化を改善し、小数1位まで明示されるようになる。