大寺山願興寺(御嵩町御嵩1377ノ1)は、1986年に国の重要指定文化財に指定された本堂の全解体修理を2018〜26年度までの10年間で行う。総事業費は約12億8500万円を想定。18年1月4日に、初弾工となる本堂の解体工事を一般競争入札で公告する。
現在の本堂は桃山期の1581年に再建された建物で、木造平屋建て549平方b。経年や白アリなどによる柱、梁、礎石の損傷が著しく、屋根鉄板のさびもある。また、再建した際に地域の人々が持ち寄った板や柱を使って組み立てているため、部材がふぞろいとなっている。このため、本堂を全て解体し、基礎整備を行った上で、組み立て直す工事が必要。部材は可能な限り現状のものを使う方針だが、必要に応じて新規に部材を製材し組み立てる。
整備スケジュールは、18年度で素屋根の設置を行い、19、20年度で解体する。21年度で基礎整備と木材加工、22年度以降で組み立て直しを行う計画だ。
総事業費は10年間で12億8500万円を見込んでおり、このうち国が85%、岐阜県が4%、御嵩町と願興寺がそれぞれ5・5%の費用を負担する。
設計・監理は文化財建造物保存技術協会(東京都荒川区)が担当する。
【大寺山願興寺】
願興寺は、815年に日本の天台宗の開祖である伝教大師最澄によって開設されたと伝えられ、本尊に薬師如来(通称:蟹薬師)を祭る古刹(こさつ)。兵火による焼失を何度か繰り返しながら、その都度再建されてきた。1581年に再建された現在の本堂は、地域の人々の発起で再建に取りかかかっており、「庶民の汗と涙と力の結晶」といわれている。
提供:
建通新聞社(2017/12/26)