東京都の小池百合子知事は、12月26日に開いた都政改革本部会議で入札契約制度改革について触れ、「1者入札や99%落札が減り、入札参加者が増えるという効果が表れている」と評価する一方、「課題も出ており、現場の声を反映しながら課題解決に取り組む必要がある」とも述べ、今後も試行結果の検証を重ねながら「より効果のある方策を模索していく」との意向を示した。
都政改革本部会議では、入札契約制度改革の実施方針に基づき財務局が6月26日に試行を始めた@予定価格の事後公表AJV(共同企業体)結成義務の廃止B1者入札の中止C低入札価格調査制度の運用範囲の拡大―の4点について中間報告を受けた。
財務局はJV結成義務の廃止について、入札参加者が増加するとともに中小企業の受注割合が増えたと報告。試行状況を検証している入札監視委員会の意見として「四つの改革の中で最も良好な効果が表れている」「中小企業が単体で参加できるよう入札参加条件を緩和しているが、JVの第1順位(代表構成員)も中小企業が入れるよう要件を緩和してもよいのではないか」との声を紹介した。
対象案件のうち18・5%で発生している1者入札の中止に関しては、入札監視委で「そもそも1者入札とならないような参加要件や規模の設定など発注の仕方を工夫すべき」「1者入札の中止になじむものとなじまないものがあるのではないか。工期を延ばせないものは(落札額の上昇など)コストにはね返ることになるため、そうした面の検証も必要」などの意見が出ている。
低入札価格調査制度の拡大については、調査を行った全ての案件で調査対象者が失格となっている。入札監視委は「調査にかかる日数が工期に影響を及ぼしていないか。弊害があるならば対象件数を減らす検討をすべき」「失格が多いために調査の適用範囲を見直すべきという声もあるが、低入札価格調査が原則であることを踏まえて議論すべき」などの意見を付けた。
都政改革本部会議では試行結果の状況について、「より多くの入札参加者を確保し、適正な競争により契約締結されたことを都民に見える形で再構築し、入札の透明性を高める」との趣旨に添った形で推移していることを評価。入札監視委員会からの評価や課題に対する指摘も踏まえつつ、試行結果を積み上げながらさらなる検証を進め、本格実施につなげていく方針を確認した。
提供:建通新聞社