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日本工業経済新聞社(山梨)
2017/12/22

【山梨】山梨県側でも直轄砂防事業/富士山噴火対策

 国土交通省中部地方整備局の事業評価監視委員会がこのほど開かれ、富士山直轄砂防事業で降雨対策に火山噴火対策を追加し、事業を継続することを了承した。変更計画によると、噴火対策の緊急対策は富士山全周を対象とし、基本対策は、降雨対策を実施してきた南西麓(静岡県)に加え、山梨県側の北麓、東麓(静岡県)でも実施する。
 降雨対策に噴火対策を加えた事業計画では、堰堤の一部を効果量の大きい沈砂地に変更。約2万個のブロック備蓄も行う。
 具体的には、事業対象渓流を約326kuから約388kuに拡大。整備土砂量も約243万立方mに204万立方mを追加し約447万立方mとする。
 整備施設は、堰堤は62基から29基に減らすが、沈砂地は13基から32基に増やす。2017年度までに堰堤は6基、沈砂地は2基整備しており、変更後の今後の整備施設は、堰堤23基、沈砂地30基。ブロック備蓄は新たに約2万個を整備する。
 施設整備は、降雨対策と噴火対策の両方に効果が大きい施設を中心に行う。そのため、砂防事業の全体事業費も現在の約830億円から60億円増額し約890億円とする。
 富士山砂防事業は、過去の土砂災害を踏まえ、降雨による土砂災害対策を直轄で実施している。一方、15年に活火山法が改正され、富士山でも噴火対策を進めることになり、国では17年度中に緊急減災対策計画を策定し、18年度以降、降雨対策に加えて、噴火対策を実施することを計画した。
 計画変更後の事業対象範囲は、現在の静岡県富士宮市、富士市に加え、本県では富士吉田市、鳴沢村、山中湖村、富士河口湖町、忍野村、都留市、西桂町、身延町、静岡県では裾野市、御殿場市、小山町、長泉町、沼津市、三島市に広がる。
 事業対象渓流は、本県では相模川流域(宮川、間堀川、神田堀川、浅間沢、鳴沢沢、一の橋川)、静岡県では狩野川流域(用沢川)が加わる。
 事業の中期計画(概ね30年間で進める事業)では、降雨対策として、富士山系、愛鷹山系それぞれの過去最大規模の土砂流出でも地域が安全となるような砂防施設整備を行う。
 噴火対策は、基本対策として、小規模噴火による降灰後の土石流に対して、当面10年間で特に優先度の高い防災拠点である市役所などを含む一帯エリアの安全を確保するよう、重点的な砂防施設整備を進める。緊急対策では、降灰後の土石流、融雪型火山泥流、溶岩流に対して、ブロック堰堤などを緊急的に設置出きるブロックの備蓄を行う。
 富士山の火山防災対策は、県や富士山周辺市町村が噴火対策の砂防事業の実施や砂防関係予算の増額を継続して要望。さらに県では、18年度から富士山火山噴火対策が予算化され早期に効果が実現できる事業推進を要望している。