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日本工業経済新聞社(茨城)
2017/12/21

【茨城】内部木質化、耐震性確保/常陸太田市が水府小中一貫校の技術提案書公表

 水府地区小中一貫校(町田町696)の建設を計画している常陸太田市が、設計者である岡田新一設計事務所(東京都文京区)・柴建築設計事務所(水戸市)JVによる技術提案書の内容を公表した。敷地の特長を生かした配置計画を形成。内部空間は木質化して温かみのある構造としつつ、十分な耐震性も有する設計とする。外周路に工事中の動線を確保することで安全面にも配慮する。校舎は2018年12月に、屋内運動場は20年8月に着工予定。
 全体配置計画では校舎を北側南向きに、グラウンドを南側に配置。南外周部は「緑陰の散策路」として、ランニングコースや森の観察、部活動の休憩場所などの利用を想定。北外周部は給食搬出入やメンテナンス、災害時の動線として利用するとともに、新校舎・屋内運動場建設時の工事車両動線スペースとしても活用する。
 建て替え計画では、まず既存グラウンド北側に新校舎を建設。新校舎と既設屋内運動場を仮設渡り廊下でつなぐとともに、敷地南側に位置する既存校舎を解体。続いて、外周路を工事動線として活用しながら校舎西側に新屋内運動場を建設。その後、既設屋内運動場と仮設渡り廊下を解体し、外構・グラウンド整備を行う。
 施設のゾーニングは、南側に「普通教室・管理棟」、北側に「ふれあい棟」「特別教室棟」「屋内運動場棟」を配備。南北をつなぐ渡り廊下を整備し、2カ所の中庭を設ける。
 整備の方針は、壁や床、家具などに木材を多用。内部空間を木質化することで、柔らかで温かみのある環境とする。また、震度7クラスの地震でも機能確保できる構造計画とし、災害時にも安心できる学校とする。使用する木材は地域産材を活用することで緑の循環システムの促進につなげる。
 具体的な工法では、W造を分棟にし、間に耐水・防火に適したRC構造の耐火壁を挟む混構造を提案。1000u耐火区画を実現しつつ、耐震性能向上を図る。
 コストの縮減では、使用建材の種類を限定した上で、競争原理の働く一般普及品を選択。建物階高を極力2階に抑えることで、躯体と内装材の数量低減を図る。また、ランニングコストを抑えるために、汚れにくく清掃しやすい防汚性建材を積極的に採用する。そのほか、太陽光発電パネルの設置による再生可能エネルギーの活用やLED照明器具などの省エネ設備も導入する。
 担当課は「今後は、この技術提案書を参考として市と事業者が協議して設計をまとめていく。計画や方針、校舎のイメージなどは変更になる可能性もある」と話す。
 なお、市が想定する設計内容によると、規模はW造約4500uで事業費が約19億円。18年12月〜19年12月に校舎建設工事、20年8月〜21年2月に屋内運動場建設工事、22年6月〜23年2月に外構・グラウンド工事を行う計画。