県総合企画部は20日、千葉県水道事業運営審議会(会長=坂本弘道・元日本水道工業団体連合会顧問)を開き、県内水道の統合・広域化の検討状況について報告した。それによると、リーディングケースとして進めている九十九里地域・南房総地域の水道用水供給事業体と県営水道との統合に向けて来年3月ごろまでに統合基本計画案を策定し、2018年度に(仮称)統合協議会の設置を目指す方針が示された。
統合基本計画案の策定に向けては、昨年3月に九十九里地域水道企業団、南房総広域水道企業団、県水道局、県の各事務局長・課長レベルを構成員とする検討会議を設置。検討会議の下に、担当係長・担当レベルで構成する作業部会を設置し、施設設備・更新、人員配置、財政収支見通しなどについて協議を進めている。
昨年度は、施設整備、財務、人員(管理体制)、水質管理、危機管理、資産等に係る基礎データの整理など現状分析と課題を整理。本年度は人員配置見通し、財政収支計画などを検討。
また、九十九里地域と南房総地域では、リーディングケースの協議と併行して、末端給水事業体の統合について検討を進めている。九十九里地域は昨年3月に「県内水道の統合・広域化に進め方に係る九十九里地域水道事業体会議」(事務局・山武郡市広域水道企業団)を、南房総地域は15年7月に「南房総地域末端給水事業統合研究会」(事務局・南房総広域水道企業団)をそれぞれ設置。南房総地域は統合に係る基本構想、九十九里地域は基本構想案を本年度末までにそれぞれ策定する予定。会議・研究会には県がオブザーバーとして参画するとともに、末端給水事業の統合・広域化の調査検討の経費を補助している。
九十九里地域の構成員は、八匝水道企業団、山武郡市広域水道企業団、長生郡市広域市町村圏組合、山武市。南房総地域は勝浦市、いすみ市、大多喜町、御宿町、館山市、鴨川市、南房総市、鋸南町、三芳水道企業団、南房総広域水道企業団。
統合・広域化は、10年3月に公表された「県内水道の統合・広域化の当面の考え方」で、リーディングケースとして県営水道と九十九里地域・南房総地域の用水供給事業体の統合を進めることとし、13年度に「県内水道の統合・広域化の進め方(取組方針)案」を作成し、関係市町村に提案。その後、関係市町村等の意見をもとに取組方針を修正。15年度で新たな取組方針が公表された。
取組方針では、第1ステップで経営統合し、第2ステップで事業統合に向かうこととした。第2ステップの事業統合では、事業(会計)を一本化し、用水供給料金の平準化を図る。
県内の水道事業の統合・広域化に向けた取り組みでは、君津地域4市(木更津市、君津市、富津市、袖ケ浦市)と君津広域水道企業団、県の6団体が「君津地域水道事業統合広域化基本計画」に合意し、10月に「君津地域水道事業の統合広域化に関する基本協定」を締結。19年1月に広域連合を設立し、同年4月1日の事業開始を目指している。