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建設経済新聞社
2017/12/21

【京都】学校施設長寿命化で行動計画 今後70年のコスト試算示す

 京都市教育委員会は20日、学校施設マネジメント行動計画案をまとめ公表した。計画期間は2017年度から2026年度までの概ね10年間。
 市の学校施設(休校中・閉校施設を除く)約165万u(総床面積)のうち、築30年以上経過が約110万uで全体の66・1%を占めており、市の築後30年以上の公共建築物の総面積(285万u)の約4割に相当する。早急な老朽化対策が必要となっている一方、従来型の改築を中心とする学校施設の維持・更新では、
2030年度以降30年近くにわたって改築時期が集中し、試算では1年間あたりの学校施設整備に要する経費が200億円を超える規模に膨らむ見込みとなっている。
 そうした状況を踏まえ、2017年3月に学校施設マネジメント基本計画を策定し、事前の計画的な取組で長寿命化を進め、維持更新に係るトータルコストの縮減や経年支出の平準化を図ることを目指すという基本的な考え方や方向性をまとめた。
 今回、学校施設の長寿命化改修を核とするメンテナンスサイクルの確立に向け、必要となる構造躯体の健全性調査の実施とその結果を踏まえた「校舎の目標使用年数」設定の考え方(基準)、更には学校施設の整備水準のあり方等について、より具体的に示すため、学校施設マネジメント行動計画案をまとめた。
 メンテナンスサイクルは@構造躯体の健全性調査の実施(学校施設の主に校舎に対し、概ね築後経過47年前後を目安に実施)A上記調査を踏まえ、使用年数の延長の可否判断B長寿命化改修の実施(概ね築後50年までをメドに実施)C予防保全の実施D事後保全の実施(不具合や劣化状況などに応じた修繕や部分的な改修を実施)E定期的な点検・評価の充実等。
 対応方針については、校舎は、児童・生徒の急増期に部分的に増築してきた経緯を踏まえ、「各棟の保有面積×経過年数」の合計を校舎全体の保有面積で除した「加重平均値」を考慮した上で総合的に判断し、長寿命化改修を推進する。
 体育館等は、災害時の避難施設としての機能向上のための改修や改築を進める。RC造の学校施設の法定耐用年数47年を目安に施設状況を総合的に評価した上で対象校を選定する。改築又は改修を行うかは、主に延床面積を基準(概ね小学校は720u、中学校は800u)として決定し、延床面積が基準よりも狭隘な場合は改築を行うこととする。
 プールは原則、概ね築後30年以上経過を対象に施設状況を総合的に評価し、改修又は改築を判断する。プールの改築時期が校舎や体育館の改築時期と合致する学校では、校舎や体育館と一体化したプールの整備による敷地の有効活用も検討する。
 今後、学校施設カルテを作成し、修繕履歴や点検・評価情報等の蓄積・活用を試行した上で全校導入を図る。
 校舎の長寿命化改修では、目標使用年数を(A)60年、(B)80年、(C)100年の3種類に分けて取り組む。
 2018年度〜2088年度の70年間のコスト試算シミュレーションによると、@全て60年で総経費8517億円(年平均負担額129億円、単年度最高額340億円)A全て80年(含む長寿命化)で総経費9096億円(年平均負担額137億円、単年度最高額254億円)B全て100年(含む長寿命化)で総経費7179億円(年平均負担額110億円、単年度最高額253億円)C80年・100年の組み合わせで総経費8389億円(年平均負担額128億円、単年度最高額212億円)D60年・80年・100年の組み合わせで総経費7521億円(年平均負担額114億円、単年度最高額210億円)。
 市京委は2018年1月中をメドに行動計画を策定する予定。