国土交通省は、2020年度までに事業費約3700億円を投じて全国の中小河川を整備する「中小河川緊急治水対策プロジェクト」を開始する。九州北部豪雨等の被害を踏まえて行った緊急点検の結果に基づき実施。本県分は、透過型砂防堰堤等の整備に三本松川(霧島市)など38渓流を盛り込み、九州最多の個所数となった。このほか、河道掘削・堤防整備等で住用川(奄美市)など9河川3.7km、危険管理型水位計の設置は136カ所を盛り込んだ。
7月の九州北部豪雨での被害を受け、9〜11月に全国約2万の中小河川を対象に緊急点検を実施し、優先個所を抽出した。
事業費の内訳は、@土砂・流木対策(透過型砂防堰堤等の整備)約1300億円A再度の氾濫防止対策(河道掘削・堤防整備)約2300億円B洪水時の水位監視(危機管理型水位計の設置)約110億円。初年度分は、12月下旬にも閣議決定する17年度補正予算案に計上する方向で検討中だ。
透過型砂防堰堤等は、土砂・流木捕捉効果の高い施設を整備するもので計745渓流(521河川)、河道掘削や堤防整備は438河川332kmを予定している。洪水時の水位監視では、小型・低コストの「危機管理型水位計」を採用することで、従来型の水位計と比べ、1台当たりの設置コストを10分1以下に削減できるという。設置予定個所(変更の可能性あり)は4992河川5755カ所。
県内の主な予定個所(カッコ内は所在市町村)。
【土砂・流木対策】三本松川(1)(霧島)平野谷川第1(垂水)江良川支渓(出水)秋目川(南さつま)木場谷1(姶良)大馬越川(3)(薩摩川内)川添川(湧水)宇都迫川(長島)鶯山川(さつま)垂水の小川(肝付)与蓋川(奄美)脇田川(宇検)手安川(瀬戸内)君野川(南九州)渡の小川(曽於)加治屋川(屋久島)富士川(伊佐)など
【再度の氾濫防止対策】甲突川(300m、鹿児島)神之川(300m、日置)別府川(400m、姶良)花渡川(400m、枕崎)万之瀬川(300m、南さつま)塩入川(300m、東串良)雄川(300m、南大隅)住用川(1000m、奄美)役勝川(400m、同)
【洪水時の水位監視】串良川(鹿屋)八房川(いちき串木野)高城川(薩摩川内)堀川(南さつま)折口川(阿久根)網掛川(霧島)など
※水位監視の河川数や設置個所数は、現地の状況や地元協議会等との調整等によって変更の可能性あり