日本工業経済新聞社(茨城)
2017/12/06
【茨城】県港湾課が強い県土へ防波堤整備推進
県土木部港湾課は、災害に強く、誰もが安全・安心に暮らせる県土づくりに向け、防波堤や航路・泊地の整備や港湾背後地を守るための防潮堤整備などを進めていく。防波堤は、茨城港の日立港区・常陸那珂港区と鹿島港で整備を推進。鹿島港外港地区では、耐震強化岸壁が計画水深14mで供用できるよう航路・泊地の整備を進める。防潮堤の重点整備区間は、復興創生期間内である2020年度内の完成を目指す。
港湾課は、目指すべき方向性として@津波被害軽減のための防波堤および耐震強化岸壁を十分に活用するための航路・泊地の整備A港湾背後地を守るため、防潮堤などの整備B避難計画や港湾BCPを確実に実行するため、周知や訓練を実施−の3点を掲げた。
このうち防波堤については、津波被害の軽減に効果があることから、今後も整備が必要であると考えている。しかし防波堤は大洗港区を除いて整備途上にあることから、日立港区(沖・L900m)や常陸那珂港区(東・L6000m)、鹿島港(南・L4800m、中央・L900m)で、早期完成に向けて整備を進める。
航路・泊地については、日立港区と常陸那珂港区で、耐震強化岸壁および岸壁前面の航路・泊地の整備が完了。鹿島港外港地区の耐震強化岸壁は、岸壁本体の整備は水深14mで完了したものの、航路・泊地は暫定の水深13mで供用している。このため岸壁を計画通り水深14mで供用できるよう、航路・泊地を浚渫し整備を促進していく。
港湾背後地を守るための防潮堤整備は、目指すべき堤防高に対し現況の高さが不足する区間や、背後に住宅などが連坦している区間の防潮堤を重点整備区間に位置付け、整備を推進。重点整備区間は復興創生期間内の完成を目指す。重点整備以外の通常区間は、18年度をめどに整備に着手する。
なお防潮堤は、平常時の利用確保を勘案し、津波襲来時には閉まって背後地を守り、平常時には港湾を円滑に利用できるよう陸閘を整備。また防潮堤で視界が遮られることから、視認性の確保や閉塞感を解消するため、アクリル板を設置していく。また、平常時における海へのアクセスを確保するとともに、津波発生時に海岸を利用している人が速やかに避難できるよう階段を設ける。
このほか避難計画や港湾BCPを確実に実行するため周知や訓練を実施。ことし3月に策定した港湾BCPについては、東日本大震災時に苦慮した燃料等の確保をスムーズに供給できるよう、対応を盛り込んだ計画の見直しに着手した。