千葉県生涯学習審議会(会長=重栖聡司・千葉大学教育学部教授)は、13日に開いた会議で「県立図書館の今後の在り方について」の答申案をまとめ、内藤敏也・県教育長に答申した。答申では、県立図書館を現行の3館体制から1館体制とし、耐震性の不足する県立中央図書館を改築し、機能を集約することとした。県教育庁は同答申を踏まえて、月内に基本構想案をまとめ、パブリックコメントを実施し、来年1月の教育委員会会議で基本構想を策定する。
県立中央図書館の改築に向けては、基本計画、基本設計、実施設計、着工というスケジュールを想定。基本計画で建設場所や建物規模、ゾーニングなどを固め、その後、設計に着手。期間は基本計画から実施設計まで約3年、建設の工期に約24か月(2年)が見込まれることから、開館まで最短でも5年が必要となる見通し。
建設場所については、答申で、立地条件として「県中央部に立地することが適当」としており、現在地での建て替えを含めて検討することになる見通し。
中央図書館の蔵書数は収蔵可能冊数約55万冊を超える約86万冊を収蔵し、蔵書の一部は西部図書館と東部図書館に分散して保管している。中央図書館と東部図書館、西部図書館を合わせた蔵書数は約140万冊で、新図書館では現在の中央図書館の収蔵可能冊数の2倍以上の広さが必要となる。
建物規模については、中央図書館と東部図書館、西部図書館を合わせた延べ床面積が約1万3000uとなる。県の公共施設等総合管理計画では、施設総量の適正化から延べ床面積の約15%の削減目標を掲げている。このため、延べ床面積は最大約1万1000uが限度となる見通し。
答申ではこのほか、類似施設との複合化について、施設の総量の縮減や人件費の削減などのコスト面での効果だけでなく、MLA連携など相互連携による各施設の機能強化やサービス向上の可能性を挙げている。このため、収蔵機能の効率化などから文書館や博物館との複合施設としての整備やアーカイブ機能などについても検討を進める見通し。
一方、1館体制後の西部図書館と東部図書館の取り扱いについては、図書館機能を残すか廃止するかなどを将来的に検討していく。図書館機能を残す場合は、地元市への委譲などが想定され、地元住民の要望などを取り込み、使い方を検討することになる見通し。
なお、既存の中央図書館の所在地は千葉市中央区市場町11―1地先。建物は1968年6月の竣工。規模はプレストレスト・プレキャストコンクリート造一部RC造地下2階地上5階建て延べ6171・03u。設計は大高建築設計事務所、施工は戸田建設が担当。