一般社団法人秋田経済同友会は8日、県庁と秋田市役所を訪れ、佐竹敬久知事と穂積志秋田市長にスタジアム建設に関する提言を行った。提言は、多機能複合型で全天候対応の可動式屋根付きスタジアムの新設を求めるもので、「マルチに、冬でも使えるスタジアムを秋田に!」がテーマ。
秋田経済同友会はスタジアムの整備を「経済活性化の大きなチャンス」と捉え、稼げる条件を整えて持続可能なスタジアムにする必要があるとし、提言には「県民のための持続可能なスタジアム」「自ら稼げる多機能複合型」「可動式の全面屋根付きの全天候対応型」「快適な観戦環境を整える10,000人収容」「まちなかに立地」「雪国の生活スタイル発信基地になる」「健康・長寿・防災拠点となる」といった新スタジアムに求める7つの要件を盛り込んだ。
想定する新スタジアムは地上5階建て、延べ床面積35,000u、収容人数10,000人規模で、サッカースタジアムのほかコンベンションセンター、会議室、ショップ、ランニングコース、備蓄倉庫などを盛り込むもの。全面屋根付きで全天候型対応型スタジアムとした場合、概算の建設費用はスタジアム本体に70億円、屋根建設に40億円で計110億円がかかると想定した。
また、その場合の経済波及効果は新スタジアムの建設によるものが169億9,900万円、Jリーグの試合や大規模イベントなどの開催によるものが19億5,100万円、計189億5,000万円が見込まれるとした。
提言書は北嶋末治代表幹事が佐竹知事と穂積秋田市長それぞれに提出。受け取った穂積市長は、ブラウブリッツ秋田がJ2ライセンスの申請を目指す来年6月までには一定の結果を出す必要があるとしたほか、「建設場所や財源だけでなく、継続的な運営をどうするかが重要な問題」などと述べた。
同友会は県庁で記者会見も開き、北嶋代表幹事、7月に設置したスタジアム検討特別委員会の竹島知憲委員長、同加藤俊介副委員長、江崎孝俊委員らが出席。竹島委員長は提言に盛り込んだ施設の概要などについて説明し「経済界として今、このタイミングだからこそ提言し、民間が声をあげていく一つのきっかけになれば」と提言の意味を話した。
特別検討委は7月に設置した後、25回の会合を重ねたほか、県外スタジアムの視察にも回り、経済同友会が検討した設置場所としては秋田市八橋にあるスペースプロジェクト・ドリームフィールドと、秋田大学陸上競技場の2カ所をあげた。
提言に盛り込んだ新設案では、1階にコンベンションセンターや運営諸室、選手控室、店舗、備蓄倉庫など、2階に店舗やスタンド周囲のランニングコース、3階に通路など、3階と4階の間に通路やカメラポジション、4階にVIP席など、5階に実況放送室や大型映像装置操作室などを盛り込んでいる。2月には今回の提言をベースに、ランニングコストなどの要素も盛り込んで再度、提言する考え。
提供:秋田建設工業新聞社