東京都の小池百合子知事は、12月6日に開かれた都議会本会議で、1者入札の中止や不調の多発で滞っている豊洲市場の追加対策工事について質問されたものの「適切な手続きを踏みながら、速やかな契約締結に向け再発注を進める」と述べるにとどまり、早期契約に向けた具体的な対応策を示さなかった。
山内晃氏(都ファーストの会)が「今回の入札契約制度改革をきっかけに豊洲市場追加対策工事の不調が発生しており、改革を見直すべきだとの声がある」と述べる一方、「制度設計に当たっては、制度の根幹となり大半のケースに適用する原則と、特別なケースで柔軟に対応する例外の両方が必要だ」と指摘。
その上で、豊洲の追加対策工事は「そもそも都が都議会で説明していた通りに行っていれば不必要なものだった」「期限を動かすことができない東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関連する特別な事情がある」として、特殊事例を入契制度の見直しに反映すべきではないと主張するとともに、20年大会に関連する個別・特別な事例として「速やかに契約手続きを進めるべき」と訴えた。
これに対し小池知事は、「入契制度に関しては対象を拡大しながら1年間(17年度)試行する。18年3月の取りまとめに向け、入札監視委員会による検証作業を始めた」「豊洲市場の追加対策工事では、不調の案件で入札参加者や資機材メーカーなどにヒアリングを実施し、再積算をしている。引き続き適切な手続きを踏みながら、速やかな契約締結に向け再発注を進める」と述べるにとどまり、不調の具体策は提示しなかった。
「ひとくちメモ」
山内晃氏は、豊洲市場の追加対策は特殊事例であり、試行を始めたばかりの入札契約制度改革の見直しに反映すべきではないと主張した。しかし、そもそも都政改革本部が入契制度改革の検討に当たってケーススタディーとしたのは、豊洲市場の建設と築地市場の解体、オリンピック・パラリンピック競技会場の建設という極めて特殊で大規模な工事だけだ。これらの特殊工事を例に、1者入札による高落札率が問題だと繰り返し指摘して制度を改革した以上、豊洲の追加対策工事を制度改革の例外として契約手続きを進めるのには無理があるのではないだろうか。
提供:建通新聞社