神奈川県企業庁は、箱根地区水道事業の次期包括委託に向けた作業を開始する。2017年度をめどに、事業者公募のための書類をまとめ、18年度のプロポーザル実施を目指す。今のところ、同年12月頃に民間事業者と契約を締結する考え。公募書類作成は、検討業務を外部に委託するなどして進める。
包括委託は、民間企業が国内、海外の水ビジネスに参加できるよう支援する「かながわ方式による公民連携」の取り組みの一つ。仙石原、宮城野、強羅、木賀(木賀、新田、川向)、元箱根(旧札場、三右エ門平、禅月山、神宮山)の各地域での窓口業務や検査・管理、水道管工事、浄水場・ポンプ所工事、漏水調査、料金徴収などを民間事業者が担う。
現在の包括委託(14〜18年度)は、JFE・デック・県管工事・ジェネッツ・西原グループが設立した特別目的会社(SPC)箱根水道パートナーズと契約を結んでいる。建設改良工事を委託業務に含めたのは全国で初めてだった。
次期委託の応募書類作成は、「箱根地区水道事業委託事業(仮称)の支援業務」の委託などを通じて行う。現在の包括委託の実施状況中間評価で浮き彫りとなった課題などを踏まえる方針だ。
中間評価では、現時点で達成が認められる項目と、改善の余地が考えられる項目を整理。このうち、建設改良工事の実施方法については、債務負担行為設定時までに委託期間中の全工事の積算が必要となる(発注者)、年度ごとの工事箇所が公募に設定されているため、委託開始後の計画変更に調整が必要となる(受注者)ことなどが課題とされた。
この他、委託期間(5年間)について、設備投資を伴う改善提案を受けにくい(発注者)、設備投資意欲を持ちにくい、中長期の民間ノウハウを発揮しにくい(いずれも受注者)といった課題が挙げられている。
企業庁では、事業者選定に向けて18年4月に第1回プロポーザル審査会を開く予定。実施方針や業務要求水準書、募集要項といった書類などを確認してもらう。その後、選定手続きを進め、12月頃の契約締結を見込む。3カ月程度の引き継ぎ期間を経て、19年4月から次期包括委託を開始することにしている。
箱根地区管内には、水源3カ所、浄水場2カ所、配水池16カ所(22池、1万1694立方b)といった施設がある。
提供:建通新聞社