国土交通省は1日、梅雨前線による今年7月22・23日の豪雨で被災した県内4河川に、災害対策等緊急事業推進費を配分すると発表した。対象河川は雄物川水系の上溝川(横手市、1億7,000万円)、淀川(大仙市、8億6,000万円)、福部内川(同、2,600万円)、子吉川水系芋川(由利本荘市、1億2,400万円)。上溝川と淀川は、河川災害復旧等関連緊急事業(復緊事業)として進められる区間のうち、初年度にあたる今年度に推進費を充てる。
今年7月22・23日の豪雨により、対象河川では越水や溢水により床上浸水などの被害が生じた。県は被災状況の調査や関係機関との調整を進め、特に被害の大きかった4河川で河川等災害関連事業(関連事業)、河川等災害復旧助成事業(助成事業)、河川災害復旧等関連緊急事業(復緊事業)などを活用し、おおむね4から5年で緊急的な治水対策を実施する。
県によると、横手市の上溝川では越水により床上浸水204戸、床下浸水309戸、浸水面積430haという甚大な被害が発生したため、助成事業と復緊事業を活用し、今年度から32年度までの事業期間で築堤、河道掘削、護岸工、橋梁の架け替えなどを行う。
総事業費は約78億3,000万円で延長約4,900m(横手市大森町上溝〜本郷)を整備。このうち助成事業は延長約4,000mで約58億3,000万円、復緊事業は延長約900mで約20億円となる。復緊事業のうち延長約400mが今回の推進費で進められ、2,500㎥の築堤や延長200mの護岸工を実施する予定。
大仙市の淀川では関連事業と復緊事業を活用し、総事業費75億4,000万円、延長約5,600m(大仙市協和下淀川川口〜中淀川中村)で築堤、河道掘削、橋梁の架け替えなどを行う。このうち関連事業は約8億4,000万円で延長約1,600m、復緊事業は約67億円(うち交付金事業12億3,000万円)で約4,000mが対象。推進費の対象区間は延長1,500mとなる。予定事業期間は今年度から32年度まで。
淀川では最大24時間雨量が383mmという記録的な大雨により、溢水で床上浸水26戸、床下浸水39戸、浸水面積120haの被害が発生。特に川原地区では全壊3戸、半壊4戸の甚大な被害となった。
福部内川では推進費の約2,600万円を活用し、大仙市大曲福見町の延長210mで築堤2,500㎥を計画。同地区では溢水により床上浸水6戸、床下浸水4戸、浸水面積12haの被害が発生した。
子吉川水系の芋川では越水により床上浸水5戸、床下浸水1戸、浸水面積39haの被害が発生。推進費約1億2,400万円を活用し、由利本荘市松本の延長1,900mで700㎥の築堤や22,000㎥の河道掘削を行う。区間は延長1,400m(前野〜上川原)と、その西側の延長500mに分かれる。
県は、今回の事業で実施する築堤や河道掘削などのハード対策に加え、水害リスクに関する情報の共有や、円滑で迅速な住民の避難を促すソフト体制の充実についても、関係機関と連携して取り組む方針。
また、県管理河川の災害査定については、全体約295カ所、申請額約223億円で順次、査定を進めており、採択された箇所から早期復旧に向け、順次工事に着手する予定。なお、新波川(秋田市)や土買川(大仙市)、楢岡川(大仙市)についても、事業の導入に向けて準備を進めている。
災害対策等緊急事業推進費は、年度途中に発生した自然災害による被災地域や、重大な交通事故が発生した地域において、当初予算では対応しきれない対策について、年度内に緊急的な予算支援を行う制度。
今回、国土交通省が発表した推進費を見ると、上溝川は1億7,000万円のうち8,500万円、淀川は8億6,000万円のうち4億3,000万円、福部内川は2,600万円のうち1,300万円、芋川は1億2,400万円のうち6,200万円に国費が充てられる。
提供:秋田建設工業新聞社