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日本工業経済新聞社(埼玉)
2017/12/01

【埼玉】埼玉設監協が高齢者子育て関連施設実例見学会

 埼玉建築設計監理協会(田中芳樹会長)は10日、高齢者・子育て関連施設実例見学会を開催した。会員・自治体から参加した約40人が、県内3カ所の保育園を視察し、運営者や設計者から話を聞いた。
  同協会は今年2月に高齢者福祉施設を中心に見学会を行っており、今回は子育て関連施設の視察がテーマとなっている。開催のあいさつをした高梨智浩副会長は「国では待機児童などの問題がありますが、子育て支援策にむけて教育無償化、特に3〜5歳の幼児教育無償化など環境整備の話も出てきています。子育てのニーズは多様になってきており、それらに対応した保育方針を掲げる施設が今後生き残っていくと思います。今回視察する特色ある子育て施設を通じて、今後皆さまの業務の参考になれば良いと考えております」とこれからの子育て施設について考える重要性を述べた。
  一行は集合場所のJR浦和駅からバスで移動し、まずは杉戸町立すぎと幼稚園・すぎと保育園を見学。発注者、設計者、監理者の各担当者から説明を受けた。発注担当者は「埼玉県は2004年から公共木造の指針を作成しており、杉戸町でも2008年から公共木造化に取り組んでいます。この幼稚園、保育園の木造化もその一環として推進しています」と発注における経緯を述べた。町内に分散していた子育て施設をまとめたこともあり幼稚園と保育園が共存する形態にになっており、多くの子供たちが木造の温かい環境の下で学べることが好評を博している。
  次に越谷どろんこ保育園を訪れ、安永愛香理事長から施設のコンセプトや保育方針の説明を受けた。同保育園は、障害者と共に学べる空間、にんげん力を育成する自然豊かな古民家風保育園、地域に溶け込んだ子育て支援カフェの併設、企業内保育など様々なコンセプトを掲げて事業を展開している。
  安永理事長は「用意されたレールを歩く指示待ち人間を育成するのではなく、自分で考えて行動できる人の育成を目指している」と保育方針を述べた。そのような施設コンセプトと方針によって今年11月には中目黒の保育園がグッドデザイン賞を受賞するなど、施設の評価が高まっている。
  最後に一行は、聖徳保育園(桜区)を見学した。近年移転した同保育園は、旧園舎の面影を残しながら、避難用スロープの下に部屋を作りたいという思いが形になっている。部屋に合わせたスロープのため幅広に設計されており、子供たちの格好の遊び場になっている。
  草野忍副園長は「スロープを中心に設計しており、子供たちに好きな場所を聞くとスロープと返ってくるほど好かれている場所なので作って良かった」と感慨深く述べた。
  見学会の閉会に伴い同協会村田委員長は「どれも特色のある子育て施設ばかりでした。どの施設からも障害者の方々に対する声や取り組みがあり、協会としても次回は障害者施設を視察する機会を企画してみたい」と次回への意気込みを述べて締めくくった。