高知県は11月28日、南海トラフ地震対策推進本部会議を開き、2018年度に要望している南海トラフ地震対策関連予算について各部局が説明した。第3期行動計画の最終年度となる18年度は、前年度比5・5%増の347億6700万円を見積もっており、揺れ対策など「命を守る」対策の徹底と、助かった「命をつなぐ」対策を掘り下げ具現化する。
会議では、各部局長らが18年度予算見積もりの概要について説明。このうち、土木部は緊急輸送の確保に向け、橋梁耐震化や法面防災対策、四国8の字ネットワーク整備の促進、防災拠点漁港の岸壁耐震化などを進める他、住宅の耐震化を加速させるため、耐震診断、耐震設計、耐震改修工事を促進する。(詳細は2面参照)
危機管理部は、市町村が進める津波避難路や避難場所整備への補助に6億0161万円、緊急用ヘリコプター離発着場整備への補助に1億4093万円を見積もっている他、新規事業として防災行政無線システム再整備に向けた実施設計委託料に3505万円を要望する。
教育委員会は、県立学校の耐震化推進に16億8926万円を要望、体育館にある非構造部材の耐震対策やコンクリートブロック塀の改修などを進める。保育園・幼稚園の高台移転・高層化への支援には6億0261万円を要望、18年度は室戸市、須崎市、土佐清水市、中土佐町の4市町で5園の整備が計画されているという。
林業振興・環境部は、新規事業として津波避難路などの保全に1億5250万円を要望。山崩れから保全し、安全を確保するため、山地災害防止事業により治山ダムの設置などを行う。18年度は室戸市、奈半利町、須崎市、土佐清水市で予定。
水産振興部は、防災拠点漁港の耐震強化に2億7925万円を要望、岸壁や防波堤の補強を進める。また内水面漁業センター、水産試験場古満目分場の耐震補強、水産試験場ポンプ室の改築も予定している。
農業振興部は、農村災害対策整備事業に2億5538万円を要望、大方西部地区の津波避難路整備などを進める。県営ため池整備事業には9億2599万円、18年度は11カ所で改修や設計を進める予定。
文化生活スポーツ部は、私立学校2棟の耐震工事補助金に4509万円、美術館と県民文化ホールのつり天井落下防止に1億0110万円を要望する。
総務部は、公文書館整備事業費に5164万円を要望、現在の県立図書館を耐震改修する。県庁西庁舎の非常用発電機改修工事には5183万円を見積もっている。
本部長を務める尾ア知事は「来年度は、時間軸を先に取った対策を視野に入れ、取り組みを進めてほしい。時間軸が先に進むほど対応が難しくなる。だからこそ早めの対応が重要だ」と述べ、各部局で徹底するよう求めた。
提供:建通新聞社