東京都病院経営本部は、老朽化した精神病院を移転新築する形で整備する「難病医療センター」について、改築工事を進めている府中療育センターの北側(東側エリア)を建設地とするとともに、隣接地に新たに「外来がん検査・治療センター」を建設する方針を打ち出した。多摩総合医療センター・小児総合医療センターの北側(西側エリア)には災害用備蓄倉庫などを整備し、駐車場を増設する。「多摩メディカル・キャンパス整備基本構想案」の中に施設整備の基本的な方向として盛り込んだ。
基本構想案は、難病医療センターの整備を軸に、キャンパス全体を再構築する内容。核となる難病医療センターについては、入院規模(病床)を300床程度、外来規模を1日当たり330人程度とし、ほぼ全ての脳神経系・免疫系の難病患者に高度で包括的な医療を提供する。ロボットによるリハビリテーションなど高度・先進的なリハビリ治療を実施し、リハビリ専門病床を整備する。遺伝子診断などの先進医療や、新たな診断法・治療法の開発につながる臨床研究や治験などにも積極的に取り組む。
施設整備に当たっては、災害時や将来の医療環境の変化などに弾力的に対応可能な構造とし、キャンパス内を東西に区分して計画的・段階的に事業を進める。東側エリアに難病医療センターと外来がん検査・治療センターを配置し、西側エリアで駐車場の増設や構内環境整備、災害用備蓄倉庫整備などを実施する。
一方、既存のがん検診センターは精密検査機能に重点化し、多摩総合医療センターに統合。1次検診事業は地域の状況を踏まえ、段階的に縮小・廃止する。
小児総合医療センターでは児童・思春期精神病床の個室を拡充し、重症系ユニット病棟を再編。小児がん医療の拠点病院として、高度で包括的な医療を提供する。
多摩メディカル・キャンパス(府中市武蔵台2丁目)は、多摩総合医療センターや小児総合医療センター、精神病院、府中療育センターなどで構成する都内最大級の医療集積群。多摩地域の医療環境の変化や、同キャンパスを取り巻く課題に対応するため、精神病院の改築(移転新築)を軸に、▽多摩地域の高度・先進的な医療の拠点▽地域医療支援の拠点▽災害時の継続した医療の確保―の視点に沿って再構築する。
提供:建通新聞社