県教育庁は28日、第12期千葉県生涯学習審議会(会長・重栖聡司千葉大学教育学部教授)を開催し、「県立図書館の今後の在り方」についての審議を行った。会議では、県立図書館の役割、機能、整備の方向性などたたき台となる案が提示された。整備の方向性では現状の3館体制から1館に機能を集約し、図書館機能を高めることが望ましいとし、整備手法ではPPP/PFIなど民間活力の活用を検討。施設の立地では県中央部に立地することが適当とした。
次回の審議会で答申案を検討し答申。その後、基本構想案をまとめ、来月から来年1月にかけて基本構想案のパブリックコメントを実施し、年度内に基本構想をまとめる予定。審議会では1館体制に対する異論がなかったことから、答申は1館体制を柱にまとめられる見通し。
県立図書館の整備の方向性では、3館ある県立図書館について、▽中央図書館を改築した上で、3館体制維持する▽中央図書館を廃止し、2館体制への機能集約を図る▽中央図書館を改築し、1館体制へ機能の集約を図る――の3つのパターンを検討。このうち、司書等人的資産の集約による図書館機能の強化や施設の集約による業務の効率化とコストの削減効果が期待できるなどのメリットから、「現状の3館体制を改めて、1館に機能集約を図った上で図書館機能を高めていく」ことが望ましいとした。その場合は、県立図書館と市町村立図書館などとの関係を維持・発展させるよう配慮することなどを挙げた。
削減効果では、施設を1館に集約した場合には、運営費が今後30年間で約73・3億円のコスト削減が期待できるとの試算が示された。
一方、整備の手法では、行政改革計画・財政健全化計画に基づきPPP/PFIなどの民間活力の幅広い活用を検討することとした。
施設の立地条件では、図書館ネットワークや関係機関との連携などを考慮すると、行政情報を含めた多様な収集・発信・蓄積される県中央部に立地することが適当とした。
県立図書館の在り方検討では、県の公の施設の見直し方針を受けて、10月4日に生涯学習審議会へ諮問。10月の会議では現状と課題について意見を聞いた。今回は、前回の意見を整理し、事務局がたたき台となる案を提示した。
なお、同庁は本年度で「県立図書館の今後の在り方検討事業」を図書館総合研究所(東京都文京区大塚3―1―1)に委託し、@インタネットを活用した図書館サービスの導入A市町村立図書館との連携方策における先進モデルの調査・分析B県立図書館の整備体制別のコスト面の比較検討――などの調査を実施している。
このほかでは、県の公の施設の見直し方針を踏まえ、県立美術館・博物館の見直しについて報告。今後、博物館機能の集約化と個々の施設の在り方など、県立美術館・博物館の全体の在り方について、生涯学習審議会に諮り検討していく方針。