北海道建設新聞社
2017/11/29
【北海道】高速道路ワイヤロープ設置 道内5区間でも死者ゼロ
国土交通省は、高速道路での正面衝突事故を防ぐため、ことし4月から順次始めたワイヤロープの試行設置に関する中間報告を公表した。10月31日現在、設置区間での飛び出し事故は1件に急減し、死亡事故はゼロと高い効果が認められた。道内の道央道と道東道の設置5区間でも、2016年の死亡事故2件がゼロとなっている。
ワイヤロープは、全国の高速道路の暫定2車線区間約113`で設置した。飛び出し事故は昨年1年間の45件から1件と大きく減り、死者の発生も昨年の7件からゼロになった。ワイヤロープ設置後、ロープへの接触事故は112件発生し2人が負傷している。
道内は道央道の落部IC―八雲IC間8`、八雲IC―国縫IC間6・4`、黒松内JCT―豊浦IC間6・6`と、道東道の夕張IC―むかわ穂別IC間3`、むかわ穂別IC―占冠IC間2`の計26`に設置した。
16年は八雲―国縫ICとむかわ穂別―占冠ICで飛び出しによる死亡事故が各1件発生したのをはじめ、負傷1件を含む計19件が起きている。設置後は、ワイヤロープへの接触事故は18件あったものの、飛び出し事故そのものがゼロとなった。
特に道東道の両区間は、それぞれ1日当たりの平均交通量(16年)が7600台に上るが、1`当たりのワイヤロープへの接触事故は夕張―むかわ穂別ICが0・67件、むかわ穂別―占冠ICが0・5件と低く抑えられている。
国交省は、ワイヤロープは2車線区間の多くで設置されているラバーポールに比べ飛び出し事故が起きにくいとし、これまでの土工区間だけでなく、17年度中に中小橋梁(延長50m未満)への設置を開始する。
ただし一方では、ワイヤロープに接触した事故車の約8割が自力走行できなくなった。維持管理作業者へのヒアリング結果からは、「一般車両や大型車が路肩寄りに走行する傾向がある。作業の危険度が増した」「落下物を転回して排除に向かうため時間がかかる」「ワイヤロープの緊張力が時間の経過とともに緩む」などの課題も浮上している。