徳島市は22日、「徳島駅周辺まちづくり計画策定検討会」(委員長・近藤光男徳島大学大学院教授)の第3回会合を開催し、駅周辺のまちづくりコンセプトなどについて議論した。鉄道高架事業により中央公園〜駅前広場〜新町川〜眉山を「にぎわい交流軸」とし、中核を成す駅前広場などの公共空間を再編することで、にぎわい空間や快適かつ安全な動線(歩行空間や公共交通)を確保し、駅を中心としたにぎわいの拡大を目指す考え。ただし、鉄道高架以外に国道192号などによる都市機能や地域資源の分断要因もあり、これらの解消も不可欠とされる。次回会合ではこれら課題について議論する。
駅周辺のまちづくりのコンセプト(案)は、前回の第2回会合で議論した三つの整備方針(都市機能集積によるにぎわいの創出、魅力ある公共空間の創出、駅周辺へのアクセス性・回遊性の高いモビリティ)に対応したまちづくりの特徴・方向性から、鉄道高架事業の実現性を踏まえ整理。鉄道高架事業により生じる空間を活用した持続可能なにぎわいを創出するため、「にぎわい交流軸」(中央公園〜駅前広場〜新町川〜眉山)を形成し、新たなにぎわいとその面的な広がりを創出。快適で安全な動線(歩行空間や公共交通)も確保し、駅を中心としたにぎわいの拡大を目指していく。
一方でにぎわい交流軸について市は、現状では車両基地や駅前広場、国道192号、国道438号による分断などで▽中央公園(徳島城跡)・藍場浜公園や助任川・新町川プロムナードといった水・緑の資源のポテンシャルが生かしきれていない▽駅前広場の歩行者と車両の動線が錯綜(さくそう)▽都市機能が空洞化し、にぎわいづくりをけん引できていない−といった問題点を挙げた。
委員からは、にぎわい交流軸の形成について特に異論はなかったものの、歩行者や公共交通を中心としたにぎわいづくりを図る上で、分断により都市機能や地域資源の連携が生じにくい点を問題視する意見が相次いだ。特に国道192号による分断は致命的で、移設や通行止め、オーバーパスといった極論の他、ペデストリアンデッキなど歩行者空間の確保が必要−といった意見があった。
市は当日、この他に「駅前広場のあり方」や「にぎわいづくりのための取り組み」について、他都市の取り組み事例を紹介しながら考え方を示した。駅前広場については歩行者動線の分断など、現状でさまざまな課題を抱えているとし、にぎわい交流軸の形成の観点では、スペースが不十分な点もあり、現行計画の見直しが必須とした。また、にぎわいづくりのための取り組みについては、公共空間と民間施設の一体的なマネジメントの必要性を挙げ、「にぎわい創出」「景観形成」「環境配慮」「防災・防犯・安心対策」の視点で連携を図る必要があるとした。
委員からは、駅前広場には十分な歩行者空間の確保や一般車両の乗り入れ禁止といった公共空間の再編が必要−という意見もあり、30年スパンで考えれば現状の線路の北側を高架化するなどし、十分な駅前広場を確保すべき−といった意見もあった。公共空間と民間施設の一体的なマネジメントについては、都市再生推進法人による取り組みの必要性を十分認識した上で、けん引する人材の確保が重要−とした。
同検討会は、連続立体交差事業に関連して、同市が事業主体となり実施する徳島駅周辺のまちづくりについて、現計画の「都市交通の改善」「防災機能の強化」「交流促進、にぎわいの創出」「ユニバーサル機能の強化」の四つの整備方針にこれらを加え、より一層のにぎわいの創出や都市の魅力づくり、公共交通機関の利用促進などの観点から、新たな「徳島駅周辺まちづくり計画(素案)」を策定するもの。月1回のペースで会合を重ね、2018年2月の素案づくりを目指していく。
次回は12月末に開催。「駅周辺のまちづくり上の課題」「まちづくりの将来像、整備方針」などについて議論することにしている。
提供:建通新聞社