神奈川県鉄道輸送力増強促進会議(会長・黒岩祐治神奈川県知事)は、鉄道事業者に対する要望219件を決定した。このうち、JR東海道本線横浜駅・戸塚駅・大船駅への可動式ホーム柵設置や、高齢者などに配慮した湘南台駅・片瀬江ノ島駅の施設整備(小田急電鉄)など15件が新規の要望項目。利用者の利便性向上、2020年東京オリンピックの開催などを見据えて盛り込んだ。
同会議は、神奈川県と県内33市町村、経済団体(県商工会議所連合会、県商工会連合会)で構成。今回の要望項目は、11月24日に横浜市内で開いた2017年度総会で決めた。国に対しては、16年4月の交通政策審議会答申でプロジェクトに位置付けられた路線の早期整備などを訴えている。
総会では、浅羽義里副会長(神奈川県副知事)が「東京オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップに向けてインバウンド効果を高める必要がある」とし、移動の円滑化の重要性を強調。その上で「少子高齢化が進む中で公共交通の果たす役割は大きい。行政や団体、鉄道事業者の連携を深めたい」と述べた。
この日は、JR東日本やJR東海、小田急電鉄、京浜急行電鉄など鉄道事業者10社に対する要望を決めた。藤沢駅〜大船駅間の新駅設置(JR東海道本線)、相模原市内への延伸の早期実現化(小田急多摩線)、ツインシティ方面への延伸(相鉄いずみ野線)などがその内容だ。
今回、新たに盛った項目は、JR東日本への要望10件、小田急電鉄3件、京浜急行電鉄1件、江ノ島電鉄1件。可動式ホーム柵の設置や、高齢者・障害者対応のトイレなど、乗客の利便性向上に向けた駅施設整備を求める内容で、オリンピックやラグビーワールドカップなど大型イベントの開催を意識した項目が多い。
事業者別・路線別の新規項目は次の通り。
■JR東日本
【東海道本線】横浜駅、戸塚駅、大船駅への可動式ホーム柵設置▽藤沢駅への「駅ナンバリング」導入▽藤沢駅と辻堂駅への大型コインロッカー増設
【横須賀線】逗子駅始発の上り電車の増発▽東戸塚駅、戸塚駅、大船駅への可動式ホーム柵設置
【横浜線】大口駅、菊名駅、新横浜駅、長津田駅への可動式ホーム柵設置
【根岸線】桜木町駅の利用者の安全性確保、利便性向上のための新改札口など整備▽関内駅、山手駅、大船駅への可動式ホーム柵の設置
【全線共通】運賃表の改善▽券売機、窓口の海外発行クレジットカードの利用環境整備
■小田急電鉄
▽高齢者や障害者などに配慮した湘南台駅、片瀬江ノ島駅の施設整備▽藤沢駅、片瀬江ノ島駅、鵠沼海岸駅の大型コインロッカー増設▽サイクルトレインの運行
■京浜急行電鉄
▽仲木戸駅、日ノ出町駅への可動式ホーム柵の設置
■江ノ島電鉄
▽高齢者や障害者などに配慮した藤沢駅、片瀬江ノ島駅施設の改善
提供:建通新聞社