建設業が1年間で働く時間が10年前とほぼ変わらず、停滞していることが分かった。国土交通省のまとめによると、建設業の年間総実労働時間は2007年度の2065時間に対し、16年度は2056時間と10年間でわずか9時間しか改善されていない状況。産業平均の1720時間(16年度)と比べて300時間以上も開きがあり、業界の働き方改革の必要性を裏付けている。
数字は、厚生労働省の毎月勤労統計調査をベースに集計。10年前と比較した年間総実労働時間は、建設業が9時間減にとどまっているのに対し、製造業は42時間減(07年度1993時間→16年度1951時間)、産業全体の平均は87時間減(07年度1807時間→16年度1720時間)と改善幅が大きく、建設業の推移にどれだけ変化が少ないか理解できる。
その停滞ぶりは、年間出勤日数の推移からもうかがえる。産業全体が222日となっているのに対し、建設業は251日とその差は約1カ月分にも上る状況。10年前(07年度256日)から5日しか改善されていないのが実情だ。
■働き方改革 一筋縄では…
業界団体が行ったアンケートによると、建設現場は今、ほぼ半分が4週4休以下で就業している実態にある。
工種別の割合は、土木が4週4休42%、4週6休26%、4週3休以下6%。これに対し、工事が多岐にわたる建築は4週4休50%、4週6休19%、4週3休以下8%と、より改善が求められる状況。「休みたくても休めない…」といった現場の声が数字に表れている。
こうした現状は、先日の九州・沖縄ブロック監理課長等会議でも指摘があった。国土交通省建設業課入札制度企画指導室の山根健太郎課長補佐は「担い手確保の観点からも、建設業の働き方改革は見過ごせない課題」とした上で、週休2日制のモデル工事拡大など「国と地方が足並みをそろえて取り組んでいく必要がある」と話す。
改革の必要性を裏付けるデータでありながら、一方ではその難しさを映し出しているようにも見える10年間の推移。今後どう変化していくか注目が集まる。