福島建設工業新聞社
2017/11/24
【福島】入札制度全般を検証/監視委で県方針
県は、工事の入札・契約制度について、全般の検証作業を進める。22日の入札制度等監視委員会で説明した。今年1月の県建設業審議会答申で、地域の実情に応じた発注のための施策として「適正性を確保した指名競争入札を導入すべき」とした提言が盛り込まれたことを踏まえ県が3月取りまとめたふくしま建設業振興プランには「現在の入札契約制度を検証して必要な改善を図る」との方針が示されている。工事入札では現在、指名競争を適用しておらず、基本的に現状通りのスタンスとしているが、検証は予断を挟まず、制度全体にわたって行う方向だ。
県の入札制度は、談合事件を契機として18年度に抜本的見直しが行われた。外部有識者の検証結果も踏まえ、当時は試行段階の条件付一般競争の拡大、全面適用へと制度を大きく改革。指名競争入札は「発注者の恣意性が入りやすい」「談合を誘発しやすい」などの理由から、業務委託の入札方式としては残されたものの、工事では適用しないこととされた。
震災後の建設業を取り巻く大きな環境変化を受け、今後の県内建設業のあり方を取りまとめた1月の県建設業審議会答申では、社会資本の適切な維持管理・更新に対応するための施策のうち、地域の実情に応じた発注施策として「BCP(事業継続計画)の策定や災害時応援協定を締結している地域企業などとの、適正性を確保した指名競争入札を導入すべき」との提言が盛り込まれた。
答申を受けて県が3月に取りまとめた「ふくしま建設業振興プラン」では「地域の安全・安心に貢献している地元企業が適正に評価されるよう、現在の入札契約制度を検証して必要な改善を図る」と記載。「幅広な制度の検討」は、こうした動きに対応するもの。
これに対して伊藤宏委員長は「環境が変化しており、指名競争入札をタブー視する必要はない」と述べたほか、委員会後に「発注者の恣意性を排除し、客観性と公正性などの仕組みを整えれば」との条件付きで、工事入札への指名競争方式適用に前向きな意向を示した。
県は、工事入札に指名競争を適用しない現状のスタンスに「変わりはない」としながらも、入札方式を含む制度全体を幅広に検討し、改善すべき項目の検討を深める意向。方向性が固まったものから同委員会に諮り、改善を図っていく考えで、制度全体の検証を進めながら、段階的に制度の見直しを進める見通しだ。