―土石業業界を取り巻く現状と課題をお聞かせ下さい。
一番の窮状は需要の減少。2000年富山国体以降、需要は減り続け、全体ではピークの3分の1の水準に落ち込んでいる。一番のお客さんである生コン業界、ゼネコンや専門工事業も同様に需要が減っている状況。
県内の社会資本は、それなりにきちんとした物があり、新たな道路や橋梁、公共建築物を造ることは考えにくい状態が予想される。人口減少社会に入り、今後は安心安全の観点から、例えば橋梁の補修や道路の修繕などに力が注がれていく中で、新たな需要は見込めないのが現状。
―連合会の運営方針をお願いします。
需要が先細りしていく中、お客さんの理解をいただきながら、適正価格で取引を行うことが一番重要。現状では、採算をとるには厳しい価格。事業継続可能な価格となるよう、組合員の後押しをすると同時に、お客さんに厳しい状況を理解いただける活動を実施していく。
また、担い手の確保・育成に向けた、魅力ある職場づくりを進めることも必要。その中の大きなポイントが給料。他の業界も一緒だが、しっかりと働いた分だけ、きちんと見返りがある魅力のある業界にしなければいけない。担い手の入職、定着のため、しっかりとした給料を払いたいのが経営者の念願ではあるが、程遠い状況。
適正価格での取引が大前提であり、そのためにはお客様の理解が必要。われわれ役員がバックアップし、粘り強くお願いしていきたい。
―来年4月から骨材標準販売価格の引き上げを決めましたが。
コストダウンへ、相当のことはやってきた。お客さんからは不十分と言われるかも知れないが、組合単位でJVを編成し、コストダウンや安全管理に取り組んだほか、老朽化したプラントを廃止し生産委託するなど、努力はしてきた。しかし、需要が3分の1に落ち込むと追いつかない。
原石採取環境は地産地消であり、運搬のコストが掛かる。県内のどの地域も採取条件が悪化し、コストアップの要因のひとつになっているが、今後もコストダウンに努めていく。
―今後の新たな展開を教えて下さい。
社会貢献活動を通じたイメージアップを考えている。現在、県との災害時応援協定の締結を検討中。いざ災害が起きた時、まず現場に行くのは建設業だが、連合会傘下の企業も相当数出動する。われわれは復旧に必要な土砂や骨材、重機、オペレーターなどの情報を提供できる。それらも含め、災害協定の準備を進めている。
一方、除雪作業は建設業だけでなく、われわれ土石業もかなりの路線を管理している。地元の道をよく知る業界のひとつであり、骨材と土石の扱いはプロ。災害時を含め、皆さんの日々の暮らしを守る大切な業界として、一般的な認知度を上げていきたい。
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ふじい・ひろひさ 1962(昭和37)年生まれ。55歳。県土石業協同組合連合会では、16年5月から会長。藤井産業(富山市婦中町)の代表取締役会長。2011年4月に富山県議会議員初当選。現在2期目(会派・自民党)。中・高校は野球部に所属し、現在も草野球に参加する。座右の銘は「一期一会」。