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建通新聞社(東京)
2017/11/24

【東京】都入契制度改革 不調発生率2割

 不調発生率は19・0%、1者入札中止は19・1%に―。11月22日に都庁内で開かれた東京都入札監視委員会の制度部会(部会長・楠茂樹上智大学大学院教授)の初会合で、都財務局が入札契約制度改革の試行状況を報告した。不調発生率は前年度比8・8ポイント増の19・0%に増加した。1者入札の中止は対象案件のうち19・1%に上っている。
 都の入札契約制度改革の実施方針に基づく制度改革は、@予定価格の事後公表AJV(共同企業体)結成義務の廃止B1者入札の中止C低入札価格調査制度の運用範囲の拡大―が柱。財務局が契約する比較的規模の大きな工事を対象に、6月26日以降の公表(公告)案件で試行を開始した。
 財務局がまとめた10月末現在の試行状況によると、予定価格の事後公表に伴う平均落札率の推移(開札済みの163件)については、前年度(公営企業部局を含む都庁全体)の91・6%を2・4ポイント上回る94・0%となった。落札率が99%以上の案件の割合は、5・1ポイント減の8・3%となっている。
 不調発生率は前年度の10・2%(財務局案件は9・9%)を8・8ポイント上回る19・0%に増えた。建築と道路舗装での不調はなかったが、道路舗装以外の土木で19・0%(前年度9・2%)、設備で22・3%(同9・6%)に大幅に増加している。
 JV結成義務の撤廃に伴う混合入札の試行では、希望申請を締め切った72件のうち希望者がJVのみが5件(全体の6・9%)、JVと単体が28件(同38・9%)、希望なしが3件(同4・2%)で、単体のみが36件(同50・0%)に上った。単体での希望者の内訳は大企業が45・9%、中小企業が54・1%だった。開札済みの43件を見ると、JVの落札が10件(同23・3%)、単体が25件(同58・1%)、不調が8件(同18・6%)で、中小企業が単体で落札した案件が15件あった。一方、入札参加希望者数の平均は前年度の2・5者を上回る4・8者に増えた。
 1者入札の中止は、対象となる204件のうち39件(19・1%)で希望者が1者以下だったため手続きを中止した。中止案件を業種別に見ると、建築が5件(全体の12・8%)、土木が11件(同28・2%)、設備が23件(同59・0%)となっており、設備と土木の割合が高かった。
 また、1者入札で中止した案件の再発注による影響として、土木では開札日の遅れが平均44・8日、工期の遅れが平均39・8日、設備では開札日の遅れが42・0日、工期の遅れが14・7日となっている。
 低入札価格調査制度に関しては、適用対象案件67件のうち調査基準価格を下回って調査を実施した工事は34・3%に当たる23件あり、全ての案件で最低価格での応札者が失格となった。試行に合わせて設定した数値的失格基準(必要な経費の計上割合が一定の基準以下)や工事成績失格基準(過去の工事成績評定で65点未満)に抵触した他、調査票の不備や未提出があったため。
 入札監視委員会では年内に検証報告を中間的にまとめ、2018年1月に建設業界団体へのヒアリングを実施し、3月末までに検証結果を取りまとめる。その後、改めて業界団体へのヒアリングを行った上で、都政改革本部会議に検証結果を報告し、同本部が必要に応じて制度の見直しを検討する。

提供:建通新聞社