新潟県コンクリート診断士会(会長・地濃茂雄新潟工科大学名誉教授)は16日、北陸自動車道の巻潟東ICから中之島見附IC区間において、コンクリート橋梁の変状、補修、維持管理方法等について視察し、診断技術の研さんに励んだ。
今回の視察は、9月に実施した国道8号新潟バイパス下り線の土留擁壁に次ぐもので、会員18人が参加。築後40年が経過した3つの橋梁をネクスコ東日本新潟支社構造技術課の塩畑英俊課長代理(博士・工学)らの説明を受けながら診て回り、変状・補修個所などをメモに取りながら、カメラで撮影した。
視察した遠藤潤事務局長(クリエイトセンター代表取締役)は「思ったほど変状は小さく、新設時の施工とそれに伴う施設管理の良さが、今なおコンクリートの健全性を保っていると受け止めた。また、ボルトの落下などを想定し、第三者への影響を未然に防ぐためのきめ細やかな取り組みに感心した」と感想を述べた。鶴巻達也幹事(加賀田組技術部長)は「橋脚・橋台に見られた変状個所は概して降雨・流下水の個所に符号し、その多くはアルカリ骨材反応によるものと考えた。融雪水との複合に起因した変状と考えられる個所もあり、こうした事象からすると、『水の作用』はキーワード」とし、「その他に温度ひび割れ・収縮ひび割れなどに起因したひび割れも散見された」と話した。
地濃会長は「悪天候の下での視察だったが、こうした日こそ診断日和。気候風土の中で生き抜くコンクリート構造物のあり姿や劣化事象を捉えるには最高」と述べるとともに、「水切りの適否、水一滴のデリケートな挙動がコンクリートの劣化を大きく支配する。こうした事象を観察し、そこで得た知見を設計・補修・維持管理に反映したい」と強調。「現場視察に基づき後日、セミナーで会員同士の議論を深める予定で、塩畑氏からも参加したいとの要請があった。産官学関係者のコミュニケーションの場が緒に就いたことはありがたい」と語った。
セミナーは、18年2月の開催を予定している。