最後に参加者から質問を受け、講師3氏が応じた。日建設計の従来イメージが変化した理由は?塩浦氏は「建築をつくるから、デザインで社会に貢献する方向へ(亀井忠夫社長の意向反映)。結果として柔らかな多様性のある建築になってきたのでは」などと客観視した。
入社後、一貫して設計を続ける方と、設計から営業に転向する方との相違点は?西村氏は「基本的に会社と十分話し合った結果であり、営業に移って以降も設計やデザインに対する提案は依然積極的」と総合力をアピール。平野氏は「プロジェクトごと一つのチームをつくり当る。野球の打順のようにバントの上手な選手からホームランバッターまで個性は様々」と組織事務所の強みを披露した。
プロポーザルの戦績はズバリ?平野氏は「目標は100%。現実は半分に満たないのではないか」。西村氏も「半分あるかないか。ただベストな提案だけではダメで、お客さんの要望を超える提案が大切。あらゆる方向から全社一丸となって」などと率直に応じた。
建築は元々ハッピー
3氏による講演の共通点は、スティーブ・ジョブスの言葉「人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいかわからないもの」を引き合いに、建築家はそこにチャンスを得て先回りし「形にしてみせてあげる」ことが大切と異口同音に話しかけた。また3氏に同行した同社女性の新人さんもマイクを向けられ「建築は空間や場を創り出す、もともとハッピーなもの。一緒に考えていきたいです」などと初々しい笑顔で訴えかけた。聴講者たちも規模の大小を超え、時代が求める考え方や見方は等しいと、大いに参考とした。