日本工業経済新聞社(茨城)
2017/11/16
【茨城】茨城県日立・高萩広域下水道組合が電気棟20年度着工/水処理設備更新に5カ年15億円
日立・高萩広域下水道組合(管理者=小川春樹日立市長)の2017〜26年度の事業計画が明らかになった。本年度は管理棟の中央監視設備改築や沈砂池ブロワ棟の主ポンプ設備改築などを推進。18年度からは、津波災害に備えた電気棟新築に向けて設計業務に着手するとともに、水処理棟の水処理設備など更新時期を迎えた設備を順次改築する。事業期間と概算事業費は電気棟新築が4カ年7億3150万円、水処理設備改築が5カ年15億483万円を見込む。
組合は、1982年の設立から日立市内北部および高萩市内の下水道整備を推進。普及率は2015年度末で93・4%に達した。
一方で、2015年の下水道法改正により下水道管の老朽化などに伴う道路陥没防止への点検が義務化。それとともに人口減少による使用料収入減への対応策が求められるなど、膨大な下水道管の更新時期が迫る中で維持管理とコスト削減が国の最重要課題として位置付けられている。
こうした状況から、組合では今後10年間の事業計画を策定。人口減少下における安定した事業継続について検証するとともに、コスト削減のための基本的な考え方を整理して経営計画として取りまとめた。期間は2017〜26年度までの10年間。3年ごとに見直しを行う。
重点的に取り組む基本施策の中で建設関連は◇老朽化施設の点検・修繕・更新(概算事業費61億4324万6000円)◇災害対策の推進(同16億8492万7000円)◇資源の有効活用(同8億2284万4000円)―。
老朽化施設の点検・修繕・更新では、処理場設備が今後10年で一斉に更新時期を迎えるに当たって規模の適正化を図りながら改築を進める。人口減少に伴い計画汚水量を約34%縮小するとともに、設備の生涯コスト(更新費と修繕費)の比較検討に基づき、県の審査を経た最も経済的な方法で更新を行う。
本年度からは管理棟での中央監視設備改築や沈砂池ブロワ棟の主ポンプ設備改築に着手している。これから進める設備の改築で主なものは水処理棟の水処理設備改築工事で、18年度から整備を開始。最初沈殿池から最終沈殿池に至るまでの設備を更新する。18〜20、22〜23の計5カ年で整備する。21年度が事業区間に含まれていないのは、他の工事との兼ね合いで事業費の平準化を図るため。
また、19年度には管理棟建築付帯設備や汚泥濃縮棟遠心濃縮設備、20年度には沈砂池ブロワ棟沈砂池設備や汚泥処理棟脱水設備、21年度には水処理棟水処理ポンプ設備などを改築する計画。
そのほか、テレビカメラを用いた管路施設調査を実施。調査・補修を行うことで管路の使用可能年数を延ばし、コストの削減を図る。調査計画延長は160q、事業費は約3億2000万円。
災害対策の推進では電気棟新築工事を進める。県による想定津波高最大8・6mへの対策のため新たに3階建ての電気棟を建設。2階以上に電気設備を移設して8・6mの津波に襲われても汚水処理機能を確保する。同時に、3階屋上を緊急避難場所とすることで現場作業員および職員に対する津波避難経路の確保も図る。計画では18〜19年度で設計をまとめ、20〜21年度から工事に入る。そのほか、管理棟や沈砂池ブロワ棟の耐震なども行う。
資源の有効利用では消化槽改築やガス貯留タンク改築を実施。処理場は全体の40%を下水汚泥から発生する消化ガス発電で賄っており、約212世帯分の温室効果ガス排出量削減に寄与するなどメリットが多いために設備を更新して資源の有効利用を継続する考えだ。