横須賀市内の国道16号の渋滞解消などを目指す「横須賀地区道路ネットワーク検討会」が11月9日に発足した。国土交通省関東地方整備局、神奈川県、横浜市、横須賀市で構成し、淡中泰雄横浜国道事務所長が座長を務める。初会合では横須賀地区の交通渋滞発生や災害時の輸送路確保の面から見た脆弱(ぜいじゃく)性などを国交省が報告。これらを踏まえて出席者からは、国道357号の八景島〜夏島間について「早期に着工することが必要である」との意見が示された他、夏島以南についても「早期に計画策定が必要」とする指摘があった。
横須賀市内の国道16号は、交通の集中により慢性的に渋滞が発生している。また、横須賀地区にあるトンネル14カ所のうち12カ所は1945年以前に整備されたもので、内空断面が狭く、老朽化も進んでいる。
一方、国道357号は横須賀市まで延伸していないため、同市の東側を南北に結ぶ幹線道路が限られており、災害時の輸送確保の面から脆弱になっている。
検討会では、こうした課題を克服し、安全・安心な道路交通を確保することを目指し意見交換していく。
意見の概要は次の通り。
◆国道357号(八景島〜夏島)について
▽国道16号の渋滞を解消して道路交通を円滑にし、横須賀の地域経済を活性化するために早期に着工することが必要
▽東日本大震災や2012年9月の集中豪雨など、災害時には交通網が寸断されてきたので、リダンダンシー確保の観点から早期に着工することが必要
▽横須賀市は基地を抱えており、日本の安全を守る上で極めて重要な役割を果たしており、災害時の道路でのネットワークを確保するために早期に着工することが必要
▽八景島〜夏島間が整備されると、追浜夏島線や船越夏島線が接続路線となるため、交通流対策として夏島交差点のクランクや追浜駅前交差点の改善について検討を行うことが必要
◆国道357号(夏島以南)について
▽国道16号の横須賀市中心部の渋滞を解消するため、また横浜横須賀道路は一部が三浦半島断層群上にあり、国道16号は老朽化したトンネルを抱えており、災害時の緊急輸送道路としての脆弱性を克服するためにも、夏島以南について早期に計画を策定する必要がある
▽国道16号は老朽化したトンネルが多く、安全な道路交通を確保するために老朽化対策を加速させるべきであり、東日本大震災など災害時には渋滞が発生して交通機能が低下したことを踏まえ、代替ルートを確保していく必要がある
▽ルートについては、基地や急傾斜地崩壊危険区域など、周辺の状況を考慮して幅広く検討していく必要がある
提供:建通新聞社