建設業の働き方改革の一環として進める週休2日等モデル工事に関する実施状況が明らかになった。47都道府県のアンケート調査(10月時点)によると、「既に実施」は30団体に上り、14団体が「実施を検討」と回答。本県でも受注者の声を踏まえた工期設定の在り方などを含め、試行への動きが加速していきそうだ。
15日あった九州・沖縄ブロック監理課長等会議で現状や今後の方向性が示された。
週休2日や4週8休のモデル工事を実施している30団体のうち、共通仮設費・現場管理費など補正係数の上乗せを行っているのは13団体。ほか17団体は、「直轄の数値が試行基準のため」「現状のモデル工事は、問題点と対応策の検討が目的」などを理由に未実施となっている。対象工事は、土木工事に限定しての試行が目立つ状況だ。
モデル工事とあって、各団体の実施件数は50件未満が多数。導入に当たっての確認方法は、@施工計画提出前に協議A着工前に休日取得計画を作成B提出簿により毎月実施状況を確認−などがある。
適正工期の設定に関する課題では、発注者側から「工期設定支援システムが県の積算システムと適合しない」「工種が複雑な工事や日当たり作業量が決められていない工種がある場合に苦慮」、受注者側からは「余裕期間や施工時期・雨休率などを考慮した適切な工期設定を」「導入によって日給月給の作業員の給料が減ることが懸念される」という声があった。
国土交通省建設業課入札制度企画指導室の山根健太郎課長補佐は「建設業の働き方改革は、担い手確保の観点からも見過ごせない課題。国と地方が足並みをそろえて取り組んでいく必要がある」と話した。
■予定価格の事後公表
対象拡大は不可避
会議では、担い手三法の運用状況も報告。入札制度改革の柱となっている予定価格の事後公表に関して「地方公共団体の取り組みが遅れている」と指摘し、対応を促した。本県も順次拡大していく方針で、今後の動向に注目が集まる。
未実施の団体が挙げている課題は、「予定価格漏えい等による不正行為の増加」「発注者に対する不当な働き掛けの増加」−など。既実施の取り組みでは、不当な情報要求があった場合の対応マニュアルを作成している団体が多かった。
会議後の会見で、県監理課の富永信一課長は「事後公表については順次、対象金額を拡大している。今後も状況を見ながら取り組んでいきたい」との見解を示した。