県工事検査課は15日、建設工事の検査に運用する「工事成績評定要領」の改正案を大方固めた。施工不良の手直しを一律「d」と評価していたものを軽微なものは「c」に見直すほか、ICT(情報通信技術)土工の活用現場を加点評価。工事書類の簡素化に向けた改正内容も盛り込む。同課では「早ければ11月中に改正案をまとめたい」と話しており、来年1月1日以降の検査から新評定を適用する。
「評定要領」のまとまった改正は2009年以来約9年ぶり。施工不良が見つかった際の検査方法の見直しは、異議申し立てを審議した今年2月の県建設工事等入札契約審議会から再考を求められていた。
現行では検査時に施工不良があれば、「指摘票」を切った時点で程度に関わらず「d」評価になり、最大約10点の減点につながる。
このため、軽度の手直しは「c」評価とし、施工ミスの程度具合と工事成績全体に与える影響とのバランスをとる。
i−Conの推進では、インセンティブとして今年度から試行がスタートしたICTの導入工事を評価する。「創意工夫」の項目に4ポイントを付与し、成績点1点を与える。
工事書類の簡素化では、写真管理など書類上の検査3項目にある「特段の工夫したもの」について、過度な書類づくりに結び付く原因とみて削除する。ただ、現場条件の変化など施工面で工夫した対応は従来通り評価する。
また、加点項目を明示するほか、「出来形」で規格値のあるバランス評定を明確化する。このほか、これまで検査時に口頭で指摘してきた、コンクリート表面に残された番線や釘処理などの注意内容を文言化し、考査項目に追加表記する。
これら改正内容は来年1月からの適用に向け、12月初めにも公表し、各発注機関や関係団体に通知する。県工事検査課は「改正によって全体の工事成績はアップするのでは」と見ており、より良い品質に近づけたい考えだ。
日刊建設工業新聞