日本工業経済新聞社(山梨)
2017/11/15
【山梨】富士山地域の公園計画変更案
環境省は、富士箱根伊豆国立公園(富士山地域)の公園区域と公園計画の変更案を作成した。変更案は、山梨県内で、利用施設として精進口五合目(富士吉田市、鳴沢村)など2カ所に園地を追加するほか、歩道(登山道)として中ノ倉雨ヶ岳線(身延町)を追加し、天子山系縦走線など4路線を変更する。
そのほか、国立公園としいて一体的に風致景観の維持や適正な利用を図る必要がある区域として公園区域を54h拡張し、合計6万645hとする。拡張する区域は富士吉田市内県有林富士・東部事業区の一部63hと忍野村忍草の一部1h以下、削除する区域は忍野村忍草の一部9h。
また、保護規制計画の変更、乗り入れ規制区域の変更も行う。
変更案は12月8日まで意見募集を行い、来年1月から2月に中央環境審議会に諮問。答申を踏まえ3月に変更内容を告示する予定。
変更を計画する富士山地域は、2013年6月に富士山が世界文化遺産に登録され、富士山と構成資産の大部分が国立公園となっており、保存管理体制が確立されることなどを踏まえ、道路などの利用施設の変更と区域拡張、公園区域を明確化する公園計画の変更を行うことにした。
事業計画については、文化遺産登録の保全状況報告書に基づき、富士山遙拝のための広場として整備が必要な精進口五合目と朝霧高原で園地を追加するほか、本栖湖と精進湖周辺の歩道と舟遊場、中の倉峠から竜ヶ岳方面に抜ける歩道などの利用施設を追加する。
◇
主な事業計画の変更内容は次のとおり。
【利用施設計画】
◆追加
・園地=富士吉田市および鳴沢村(精進口五合目)に、富士登山(河口湖口)線道路(車道)終点において、利用者の休憩、散策、展望のために整備する。
・舟遊場=富士河口湖町(精進湖北岸)に舟遊びの施設として整備する。
・園地=静岡県富士宮市(猪之頭人穴道)に富士吉田富士宮線(車道)のドライブ利用者の休憩および野外レクリエーションなどのために整備する。
・野営場=静岡県富士宮市(猪之頭人穴道)に、隣接する猪之頭と連携した野外宿泊の拠点として整備する。
◆削除
必要性が無く、整備の見込みも無いため、以下の施設を計画から削除する。
・宿舎=富士吉田市諏訪の森。富士河口湖町(精進赤池)。身延町(本栖湖西岸)
・園地=富士吉田市、忍野村、山中湖村(鐘山)。富士河口湖町(精進赤池)。山中湖村(三国山)
・給油施設=富士河口湖町(船津)
【車道】
◆削除
・富士北麓公園線(富士河口湖町船津胎内・車道分岐点〜富士吉田市中ノ茶屋・車道合流点)=公園事業として整備する必要性が無くなったため
【歩道】
◆追加
・中ノ倉雨ヶ岳線(身延町本栖湖畔〜長崎〜雨ヶ岳・歩道合流点)=本栖湖畔から中ノ倉峠、中ノ倉山を経て雨ヶ岳に至る登山道として整備する。
◆削除
必要性が無く、整備の見込みも無いため、以下の歩道を計画から削除する。
・精進五湖山線(富士河口湖町精進湖畔〜五湖山・歩道合流点)
・本栖パノラマ台線(富士河口湖町本栖大久保〜パノラマ台・歩道合流点)
・御坂峠線(富士河口湖町御坂トンネル南口〜御坂峠・歩道合流点)
・大石大石峠線(富士河口湖町大石〜大石峠・歩道合流点)
◆変更
利用実態など合わせて、以下の路線を変更する。
・天子山系縦走線(変更後)=富士河口湖町本栖・歩道合流点〜富士宮市長者ヶ岳・歩道合流点。本栖から天子山系を縦走する登山道として整備する。
・三ツ峠山口浅川線(変更後)=富士河口湖町三ツ峠山口〜三ツ峠山・歩道合流点〜浅川、天上山。甲府船津線道路(車道)の三ツ峠山口および河口湖畔の浅川、天上山線索道運送施設の天上山から三ツ峠山への登山道として整備する。
・御坂山系縦走線(変更後)=富士河口湖町三ツ峠山・歩道合流点〜身延町中ノ倉峠。三ツ峠山から中ノ倉峠へ、富士山を展望しながら縦走する登山道として整備する。
・精進口三合目御庭線(変更後)=鳴沢村御庭・歩道合流点〜奥庭。御庭および奥庭周辺の亜高山帯針葉樹林を観察する探勝歩道として整備する。