京都府は、鴨川と高野川の合流部の鴨川デルタの鴨川公園葵地区について、整備方針や全体イメージ等をまとめ、整備計画案として公表した。
府は、学識経験者と現地関係者で構成する鴨川公園葵地区整備計画に係る意見聴取会議(座長・川ア雅史京都大学大学院工学研究科教授)の第2回会合を7日に開催。仲久保忠伴京都府京都土木事務所所長は「鴨川エリアは年間300万人が訪れる憩誰もが安心して利用できる、場所。公園と河川を一体整備し魅力ある人の集まる拠点にしたい」と挨拶した。
鴨川公園(広域公園34・8f)のうち、整備計画の対象は京都市左京区下鴨宮河町他の葵地区約5300u(昭和15年6月完成)。
意見聴取会議で示した整備計画案によると、基本方針に@周辺の環境と調和する景観づくりA誰もが安心して利用できる、安全で快適な空間づくりB立地条件を活かし、新たな交流や情報発信の拠点づくりを掲げ、全体イメージは@糺の森、下鴨神社の景観と調和した緑豊かな公園A明るくオープンで誰もが来たくなる公園B明るい川岸とも連携しながら、文化や歴史の情報発信を行う公園と設定した。
整備の基本的方針として、@全体的な森の形の連続性を保全しつつ、明るさや見通しを改善する(低木など公園内外の見通しを妨げているもの、樹形が乱れているものは整枝により樹姿を整え、見通しを改善、樹勢が弱いもの・樹形が相当乱れているもの・歩道に幹が張り出しているもの・枝葉が混み合い景観を暗くしているものは伐採等)A入口柵、外周柵、トイレ、ベンチ等の改善により利便性を向上(各施設のバリアフリー化、歩きやすいが自転車が通行しにくい園路舗装を整備)B森の中の小ひろばを整備し、サイン等により歴史、文化の情報発信を図る(交流、憩い、イベントの場として森の中の小ひろば及びサイン等を整備)を設定した。
葵地区を南側からエリアa、b、cの3つに分けた。ゾーニング計画で、河合橋や出町橋近くのエリアaは「落ち着いた場でありながら、イベントや市民活動ができる空間」(森の中の小ひろば)、旧三井下鴨別邸西側のエリアbは「木々の間からの木漏れ日を楽しむ休息の空間」(多目的に使える複合施設としてトイレ等を再整備(トイレ、休憩、管理)、泉川の親水空間としての活用等)、京都家庭裁判所西側のエリアcは「静かに散策を楽しむ空間」(森の中の小径)とした。
葵地区の現状をみると、密度の高い樹林となっており、全体の40%がクロマツ、このほかウバガメシ、キンモクセイ、シラカシなど90%超が常緑樹。夏季は木陰に覆われて涼しいが、冬季は薄暗い印象になっている。
トイレは4年に整備。外観、内装ともに大きな損傷はないが、部分的な破損や全体的な経年劣化などがみられる状況。
ベンチは2人掛け用の擬木性コンクリートベンチが11基ある。地区内には照明灯が9基、埋込灯が5基設置されている。このほか、尾上松之介像、葵公園の石碑がある。
京都土木事務所が28年度に発注の整備計画素案作成、検討委員会運営を行う業務は修成建設コンサルタントが担当。