神奈川県県土整備局所長会(会長・鈴木仁藤沢土木事務所長)と神奈川県建設業協会(神建協・小俣務会長)との意見交換会が7日に横浜西合同庁舎で開かれ、神建協側は、県の入札契約制度のうち、インセンティブ発注といのち貢献度指名競争入札の発注件数割合を全体の50%程度にまで引き上げるよう求めた。これに対して県側は、「双方(インセンティブ発注・いのち貢献度指名競争入札)を勘案しながら、発注の目安を設定すべく検討したい」と回答。具体的な数字や時期については明言しなかったものの、「要望(50%)を含めて検討する」と述べた。また、発注時期の平準化については、切れ目なく発注するためのゼロ県債の設定や、工期12カ月未満の案件への債務負担行為の設定・活用などを引き続き進める考えを示した。
参加したのは、県土整備局側が各土木事務所などの所長と県土整備経理課、技術管理課、建設業課、神建協側が会長、副会長をはじめ各常置委員会の委員長、各支部の支部長と事務局幹部。
県土整備局所長会の鈴木会長は、「日頃、防災活動に尽力する皆さんの力なくして地域の安全は守れない。社会貢献企業が今後も地域で活躍できるよう、インセンティブ発注や、いのち貢献度指名競争入札の適切な運用を通じて支援していきたい」とあいさつした。
小俣会長は、「自治体の予算が増えず、地域建設業者向けの工事が少ない現在、発注される一つ一つの工事の持つ重さは一段と大きくなっている」とした上で、「各事務所では地域に貢献している企業を対象とする案件の増加をはじめ、地元業界の育成に一層配慮した対応をお願いしたい」と述べた。
神建協側は、担い手の中長期的な確保・育成や企業経営の安定化の観点から、施工時期の平準化を強く求めた。
所長会・県土整備局側は、「国の交付金事業にゼロ債務負担行為を設定したり、工期12カ月未満の案件に債務負担行為を設定・活用したりして、平準化に努めている」と説明。
これに関連して神建協側は、「7月の県土整備局との意見交換会で、(県土整備局側から)『関東地方整備局が、関東ブロック発注者協議会構成団体の平準化率を公表することになっている。神奈川県の平準化の目標値の設定については今後検討していく』との見解が示された。検討状況を聞きたい」と質問した。
県側は、「規模や発注手法などを考慮し、土木事務所ととともにさらに検討を進めたい」と回答した。
また、入札契約制度の改善について、神建協側は「インセンティブ発注」と「いのち貢献度指名競争入札」の発注件数を全発注の50%程度まで引き上げるよう求めた。
県側は、「一般競争入札によるインセンティブ発注は目安として全体の2割、いのち貢献度指名競争入札については(現在試行段階で)安定運用を目指す観点から目標値は設定していない」としながらも、要望を踏まえ、「目安」の設定に前向きな姿勢を示した。
このほか、神建協側が求めた公共工事予算の増額確保と各事務所発注の工事量の増加については、「2017年度一般会計当初予算額は前年度を下回ったものの、県土整備局の建設関係予算は前年度を上回る額を確保した。18年度予算編成に当たっては、自然災害防止対策や、老朽化対策のための維持補修費、経済活性化に役立つ幹線道路網の整備など、必要な予算を確保できるよう国に要望していきたい」との考えを示した。
提供:建通新聞社