建設新聞社
2017/11/07
【東北】県有施設の維持管理に重点/18年度当初予算の編成方針/東北6県・仙台市
東北各県と仙台市の2018年度当初予算の編成方針が出そろった。青森、山形、宮城、福島などは、県有施設や老朽化した公共施設の適切な維持管理に重点を置き、計画的に推進するとしている。一方、公共施設の新設に関しては、岩手と山形が県による大規模な施設整備や、庁舎・事務所整備は抑制もしくは原則行わないとの方針を示した。また、被災3県は、引き続き復旧・復興関連に加え、その後のまちづくりに関する事業の推進を盛り込んでいる。
【青森県】
交流人口拡大などを掲げた「青森県基本計画」が2018年度で最終年度を迎えるため、総仕上げに向けて基本計画重点枠事業費に30億円を配分した。
公共事業費に関しては2017年度当初並みの389億円とした。施設整備費に関しては、従来の大規模プロジェクト事業費と統合。県有施設の適正管理を、緊急性・優先度を踏まえながら着実に推進できるよう、前年度と同額となる134億円と見積もっている。
【岩手県】
「いわて県民計画」期間の最終年度となることから、東日本大震災津波からの復旧・復興に関する取り組みを最優先で進めるとともに、施策の選択は効率性などを重視し厳しく選択するとした。県が行う大規模な施設整備は新たな着工を抑制。整備の際は既存施設の有効活用の可能性を検討しつつ、移転の場合は跡地の利活用まで事前に検討すると掲げた。
前年度と同じく、通常分と震災対応分に分けて、部局からの要求額と財政課での調査基準額を設定する。公共事業費(維持管理関係含む)の通常分は17年度当初予算?1・00以内。震災対応分は所要額としている。政策推進費の通常分は17年度当初?0・95以内、震災対応分が所要額と設定した。
【秋田県】
来年度から推進機関が始まる「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」に基づく施策に重点的を置く。政策経費として111億円を目標とした。経常経費は数億円程度の確保を目標とし、裁量的経費は原則5l減とする。
プランには▽ICTを活用した県内建設業の生産性向上▽クルーズ船受入環境等の整備▽日本海沿東北自動車道、東北中央自動車道の事業中区間の整備促進―などが盛り込まれている。
公共事業については県単独は原則マイナス20l、新規・拡充事業の財源は30億円程度の一般財源確保を目指す。
【山形県】
「県民総活躍」「産業イノベーション」「若者の希望実現」「健康安心社会」「県土強化」を推進する事業について、「県政運営基盤強化特別枠」を設定した。
「県有財産総合管理基本方針」と「県有建物長寿命化指針」を踏まえ、県有施設の長寿命化と維持管理コストの低減を推進。また、庁舎や事務所などの新築は原則行わないとし、改築は必要性が十分に立証されたものに限定する。新たに公共施設の整備が必要となる場合は、PPP/PFI手法の導入についても検討するとした。
【宮城県】
「宮城県震災復興計画・発展期」に盛った震災復興の総仕上げ、地域経済の新たな発展、美しく安全なまちづくりなどの方針に的確に対応した施策に重点的に予算化する。また、「宮城県公共施設等総合管理方針」に沿って、老朽化対策などの必要性や優先度が高い施設に重点配分する。
予算規模は事業費ベースで1兆1383億円を見込む。公共事業費は通常分591億円と震災分1971億円を合わせた2562億円となる見通し。
このうち、補助公共事業費は280億円。単独公共事業費が17年度当初予算と同額とした。維持補修事業費が156億円。国直轄事業負担金は事業費ベースで同額を見込んだ。17年度に発生した災害復旧事業費のうち、国庫補助事業は18年度の認証見込額、単独事業は実施見込額としている。復興公共事業費は所要額とした。
【福島県】
前年度に引き続き復興・創生枠を設けた。これまでの事業効果を検証しながら、避難地域の復興加速化や農林水産業再生、復興まちづくりなどを、復興ステージに応じた施策を適切に実施するための予算を確保する。
通常枠の中の維持補修費は、前年度同額をベースに1〜2lを上乗せ。災害復旧費は所要額とした。一方、公共事業費は単独、補助ともに17年度当初(一般財源ベース)に比べ3l減となる要求上限を提示した。
老朽化が進む公共施設等の維持管理・長寿命化対策等については、計画的に取り組みを推進する。
【仙台市】
予算重点配分として、市民が安心して暮らせるまちづくりや、仙台の魅力と活力向上を主な分野として配分するとした。福祉施設整備費助成や地域施設整備などの変動的経費は要求上限一般財源額の範囲内で、可能な限り抑制して要求する。
一般経費はゼロシーリングを設定。17年度における一般財源の範囲内とした。
提供:建設新聞社