東日本建設業保証は、「建設業の財務統計指標」(2016年度決算分析)をまとめた。
富山県内における建設業の財務内容の特徴を見ると、資金の流動性指標の一つである当座比率は291・69%と、東日本管内(23都県)平均の271・55%を大きく上回り、管内でもトップクラスとなった。
資本蓄積の度合いを表す自己資本比率は39・15%で、管内平均の30・83%を大幅に上回り、全体でも青森県に次ぐ2位と、県内企業は総じて財務基盤が強固であり、健全性も高いことが明らかになった。
この調査は、中小建設企業の経営合理化に役立ててもらう目的で毎年度実施しているもの。経営活動の実態を計数的に把握し、(1)収益性(2)活動性(3)流動性(4)健全性(5)生産性―の観点から業種別、売上高別に指標を細分化した上で、経営内容が同業他社と比較できる内容となっている。
県内の調査企業数は610社で、調査決算期は、16年4月期から17年3月期。
区分ごとの調査概要(平均値)を見ると、『収益性』は、企業の収益力を総合的に表す最も重要な比率である総資本経常利益率、財務力を含めた総合的な収益力を表す売上高経常利益率ともに、東日本平均を下回っている。総資本経常利益率の業種別では、電気が最も高く、土木建築が最低。売上高別では、金額が大きくなるほど、利益率も高くなっている。
『活動性』は、総資本回転率が1・45回と、東日本平均の1・64回を大きく下回り、東日本管内でも最下位。自己資本回転率は5・11回で、東日本平均の6・31回を下回った。総資本回転率の業種別は電気が最も多い一方で、土木建築が一番少なく、売上高別では1億円未満が最多。
『流動性』は、当座比率が291・69%で、東日本平均の271・55%を大きく上回った。当座比率の業種別は土木が最も高く、売上高別では、規模が大きくなるにつれ低くなっている。流動比率は272・95%と、東日本平均の250・95%を大きく上回った。
また、『健全性』を見ると、自己資本比率は39・15%で、東日本平均の30・83%と比べて上回っている。自己資本比率の業種別は電気が最も高く、建築が最低。売上高別では、5億円〜10億円の企業が一番高い状況となっている。
『生産性』は、1人当たり売上高が2230万円と、前年比で77万円減り、東日本平均の2827万円も下回った。
1人当たり売上高の業種別は、建築が4622万円(東日本平均4773万円)でトップとなり、管が1845万円(同2325万円)で最低。売上高が多い企業ほど、1人当たりの売上高も多い傾向となっている。付加価値率は土木が54・75%でトップ、電気が48・70%と続いた。