東北建設業協会連合会(千葉嘉春会長)のブロック会議が10月31日、秋田市の秋田ビューホテルで開かれ、東北6県の建設業協会、国土交通省、各県などから約170人が出席、適正な利潤の確保や戦略的広報など7つの議題について意見を交わした。
冒頭のあいさつで連合会の千葉会長は、社会資本整備の着実・安定的な推進などを求めた上で、国交省の「建設産業政策2017+10」について触れ、「10年後も地域建設業が危機管理産業として活躍できるよう、着実に実施・具現化されることに期待したい」と述べた。
青森建協は「国土強靭(きょうじん)化に向けた取り組みを実現するには、建設業の健全な存続と雇用の維持が不可欠」とし、公共事業予算における年次計画の提示や、地域の実情に合った公共事業予算の増額確保を求めた。また、連合会は「地域の実情に合った公共投資は必要不可欠。『大型補正予算』を早期編成してほしい」と訴えた。
宮城建協は東日本大震災の復旧・復興事業で「施工の最盛期はまだ続く」とし、被災地特例の継続や前払金特例措置の延長を要望。台風など自然災害からの復旧では、災害査定額のしばりなどから現場実態との乖離(かいり)を変更しにくい場合もあるとして、適切な利潤が確保できる仕組みづくりを求めた。
改正品確法の適切な運用や地域間格差の解消については山形建協が提案。調査基準価格の引き上げや設計労務単価の全国統一などを要望したほか、技術者報酬について、「収入向上につながる直接的対応がなされていない」と訴え、予定価格の積算での専任費用の別途計上などを求めた。
岩手建協は「適正な利潤の確保」に向け、発注や施工時期の平準化、低入札調査基準価格の見直し、適切な設計変更を提案。低入札調査基準価格に算入する一般管理費などの算入率の55%から90%への引き上げや、調査基準価格の設定上限の予定価格の95%程度への引き上げなどを要望した。
秋田建協は「建設産業政策2017+10」に盛り込まれた施策の具体化を提案。適正な工期設定に向けた設計図書などでの施工条件の明確化や、民間工事での品質確保指針の周知徹底を訴えた。若者や女性など担い手の確保に向けては、賃金水準のアップや週休2日制の確保などの就労環境改善を求めた。また施工時期の平準化の拡大で、余裕期間の設定や週休2日の確保を踏まえた工期設定などを要望した。
福島建協は、地域建設業の戦略的広報を要望。東北地方整備局の「就活ゼミ」の出前講座や、ポータルサイト、インスタグラムによる広報の取り組みを紹介。公共事業の必要性などの戦略的発信や、官民一体となった総合的な対策を求めた。
今回のブロック会議で議長を務めた秋田県建設業協会の村岡淑郎会長は、週休2日制の推進を重ねて要望。「技能労働者などが休んだ分、給料が減らないよう、例えば『担い手係数』などの給料補填(ほてん)策をお願いしたい」と訴えた。審議の後、「地域建設業が持続的に発展する施策の構築と、国民の安全・安心を確保する安定的な公共事業予算確保の重要性、地域間格差の是正を強力に発信する」と述べて会議を締めた。(地方建設専門紙の会)
提供:秋田建設工業新聞