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建設経済新聞社
2017/10/30

【京都】烏丸線への可動式ホーム柵 全駅設置で費用200億円超 新型車両デザイン検討着手

 京都市交通局は、地下鉄烏丸線全駅への可動式ホーム柵の設置に向け、31年度からの次期経営ビジョンを策定する中で方策の検討を進める。
 烏丸線の可動式ホーム柵の設置は、1日平均乗降人員の多い烏丸御池駅(10万6440人、28年度実績。以下同じ)の26年12月設置を皮切りに、四条駅(9万7980人)の27年10月設置、京都駅(12万3360人)の27年12月設置の計3駅で先行して取り組んだ。総事業費は3駅合計で7億4500万円(税込。うち国庫補助金1億7600万円)。3駅の可動式ホーム柵基本設計は阪急設計コンサルタント、実施設計はパシフィックコンサルタンツ、設置工事は三菱電機が担当。
 交通局は、28年度策定の市バス・地下鉄中期経営方針(28年度〜31年度)において、「烏丸線全駅への可動式ホーム柵設置を目指し、車両整備計画を30年度までに策定。33年度に更新時期を迎える烏丸線車両9編成について、自動列車運転装置(ATO)を搭載した新型車両の更新に着手する」方針を掲げた。
 29年度運営方針では、「烏丸線車両の新造に向けた懇談会を設置(33年度に供用開始から40年となる烏丸線車両の9編成が更新時期を迎えることから、全駅への可動式ホーム柵の設置を目指し、ATO搭載の新型車両導入に着手。29年度はデザイン等について意見聴取するため懇談会を設置するとともに、交通局内部でも仕様等の検討を進め、30年度までの2年間をかけて基本設計を行う)」とした。
 烏丸線で先行設置の3駅に次いで1日平均乗降人員が多いのが、北大路駅(3万0328人)、今出川駅(2万7675人)で、北大路駅は社会福祉法人京都ライトハウスや京都府立盲学校の最寄り駅であることから、視覚障害者の利用も多く、「可動式ホーム柵の設置の必要性は十分に認識している」という。
 一方で現行ダイヤを維持しながら、新たに可動式ホーム柵を設置するには交通局の車両(20編成)と相互直通運転を実施している近畿日本鉄道の車両(10編成)の全てにATOを搭載する必要があり、また現在乗務員が別々に操作している列車の扉と可動式ホーム柵の扉が連動して開閉する装置を導入する必要がある。
 烏丸線の車両更新の費用は約110億円と試算。烏丸線の全駅に可動式ホーム柵を設置する場合には更に100億円規模の事業費が必要とし、200億円を超える多額の費用負担が必要となる。
 交通局では、20編成中9編成が供用開始後40年を経過し更新時期を迎えることから、将来的な可動式ホーム柵の全駅設置に備え、ATO搭載の新型車両導入に着手(烏丸線新造車両デザイン検討業務は総合車両製作所)。今後は、31年度からの10年間を対象期間とする次期経営ビジョンを策定する中で、課題の解決に向けた方策を検討する考え。