県が整備を進めていた越前町小曽原の「越前古窯博物館」の開館記念式典が28日に開催された。西川一誠知事や内藤俊三越前町長、近隣の自治体首長、県議会議員や宮崎小学校の児童ら200人を超える参加者で完成を祝った。
西川知事は「丹南地域は伝統工芸産業が盛んであり、『越前ものづくりの里プロジェクト』として、人材育成などに取り組んでいる。伝統の技を随所に使用したこの博物館を、新たなものづくり拠点として位置づける必要がある。今後、沢山の方が訪れて頂けるよう、努力していくのでご支援ご協力をお願いしたい」などとあいさつ。
また、松田泰典福井県議会議長と内藤町長も来賓祝辞で、伝統工芸の魅力の発信拠点としての施設が果たす意義を強調し、関係者に感謝の意を示し喜びを伝えた。
その後、テープカットを行った後、参加者は内覧会を実施したほか、濃茶席、薄茶席も開催。午後からは一般開放もされた。
同博物館は永和建設工業・永和住宅が施工を担当。資料館では、越前古窯研究の第一人者である水野九右衛門氏のコレクションを展示。越前焼の歴史変遷や、水野氏の研究成果を展示するほか、年数回の企画展も予定する。収蔵庫には氏が集めた3万7000点の陶片も保管されている。
移転・復元された旧水野九右衛門家住宅は、博物館の中央に位置し、切妻屋根に旧家の威容を見せる。茶道や華道などの文化活動や伝統工芸の展示なども可能なコミュニティスペースとなっている。
また、本県ゆかりの偉人、岡倉天心を顕彰する茶室「天心庵」や立礼式の茶会が可能な「天心堂」は市松編の網代天井などで、清楚な意匠空間を創出。11月18・19日には本格的な茶会「越前古窯天心茶会」が開催される予定。
日本六古窯の一つとして日本遺産にも認定された越前焼の、更なるブランド力の向上と、越前焼をはじめとする本県の伝統工芸の振興拠点として、多くの人の利用が期待されている。