先の加賀市長選において、14年ぶりの無投票で再選を果たした宮元陸氏。きょう30日から2期目がスタートするにあたり、「すでに進めている色々な施策を着実に進捗させていくことが大事」と強調する。北陸新幹線敦賀延伸などを控える同市の展望を宮元氏に伺った。
今回の無投票再選を踏まえ、「やはり結果を出していくことが我々の仕事。人口減少も含め、大きな課題に対し、少しでも結果を出せるような形にしていかなければならないし、非常に重い責任を感じている」と率直な思いを口にする。
23年春に予定する北陸新幹線敦賀延伸を見据え、加賀温泉駅では、5月に在来線の仮駅舎が供用した。新幹線駅舎では、近く鉄道建設・運輸施設整備支援機構からデザインイメージの複数案が提示される見通しだ。市が担当する駅周辺整備については「新幹線駅舎のデザイン案を受けて、駅前広場などの計画を固めていく」との構えだ。
これらの駅周辺整備と並行し、まち並み整備にも傾注する。5月に日本遺産に認定された北前船の歴史遺産が残る橋立地域などでの環境整備、加賀商工会議所と連携して進める柴山潟周辺整備、緑化景観を推進するガーデンシティ構想についても取り組みを一層加速させる。「加賀温泉駅に新幹線が停車し、より多くのお客様も含めて交流人口が拡大することは大事。駅舎の整備だけでなく、加賀市全体が温泉地・観光地といった魅力あるまちでなければいけない」。
現在、市内の産業団地は一部未操業区画を残すものの、完売となっている。このような中、市内への企業進出や既存工場の拡張などが相次いでいることから、さらなる進出需要に対応するため現在、新たな産業団地の適地調査を進めている。「来年度から整備に取り掛かろうと思っているが、どういう形態にするのか検討していく。何でも誘致するのではなく、成長できる分野の企業を見極めながらやっていきたい」と話す。
閉校した旧菅谷小学校跡地の有効活用として、エネックス(福井市)の誘致に結びつけた。3月に閉校した黒崎小学校では、グラウンドを多目的広場に整備。校舎などの跡施設についても「そのまま残しておくわけにもいかない。公共施設を使っていかないと勿体ないし、どうするか模索している」と述べ、新たな企業誘致への活用も視野に入れている。
IoT(モノのインターネット)には先行して取り組んできており、昨年には経済産業省の「地方版IoT推進ラボ」に選定された。今後、旧市民病院の内部を改修し、整備するIoT拠点で人材育成に力を注いでいく方針だ。
新規投資だけでなく、老朽化しているインフラの維持、修繕、更新の必要性も説く。15年度に公共施設マネジメントで固定資産台帳を整備し、将来的な更新費用を細かく試算した。「危険性の高い所から取捨選択して整備していくことになるが、地元の建設業と連携して取り組んでいく」。
みやもと・りく
1956(昭和31)年生まれ、法政大法学部卒。森喜朗元首相の秘書を経て99年石川県議会議員に。13年の加賀市長選に初当選した。60歳。