横浜市は新斎場の整備を巡る検討で、東部方面(鶴見区・神奈川区・港北区)への整備が最適とする中間報告をまとめた。利便性や地域的な高齢者人口の増加傾向などに加え、市営斎場が存在しないことが理由。併せて今後の火葬需要に対応するため、2033年度には新たに16炉が必要とした。17年度内に新斎場の整備候補地を選んだ上で、18年度に基本計画を策定する予定でいる。
市内の斎場は▽久保山(西区、12炉)▽南部(金沢区、10炉)▽北部(緑区、16炉)▽戸塚(戸塚区、6炉)―の市営4カ所と、民営の西寺尾火葬場(神奈川区、10炉)で合計5カ所。全国の政令指定都市の中で最も人口が多いものの、10万人当たりの火葬炉数は相模原市に次いで2番目に少ない。
市では超高齢社会の到来で増え続ける死亡者と火葬需要に応えるため、17年度に新斎場の整備に向けた検討をスタート。パシフィックコンサルタンツ(横浜事務所、横浜市西区)に委託した調査業務を通じ、将来人口推計に基づく火葬需要を予測しつつ、新斎場の必要性や候補地選定の条件、想定規模・整備パターン・概算事業費、整備・運営手法、整備スケジュールなどの検討を進めている。
中間報告によると、東部方面への新斎場の整備は▽方面別に市営斎場を整備することで利便性が高くなり、将来にわたって安定的な火葬の提供ができる▽高齢者人口の増加傾向が顕著で、今後の火葬需要の増加が著しくなると考えられる▽既存の市営斎場への所要時間が30分を越える地域が大部分を占める▽鶴見区の自治会から整備要望が挙がっている―ことなどから最適とした。方面別の整備によって、大規模災害発生時の火葬需要にも対応できる可能性が高くなると考えている。
中間報告ではまた、将来の死亡者数(18年3万4154人→42年4万6874人)や1年間で最も需要が多い1月の死亡者数(18年3672人→42年5039人)の推計、既存市営4斎場の1月の火葬可能数(直近3年平均3456件)から、27年度以降に1月は1000件を超える火葬能力不足が生じると分析。このため、1月の推計死亡者数が4851人に達する33年度には、新たに16炉(1395件分、試算炉数14・8炉→15炉と予備炉1炉)が必要とした。
その上で、既存の市営4斎場はいずれも増築を伴わない形で炉数を増やすことが難しく、最古の戸塚斎場(1980年供用)でも直ちに建て替えるほど老朽化していないことも挙げて、新斎場の整備の必要性を唱えている。
提供:建通新聞社