名古屋市緑政土木局は、堀川に架かる松重橋を対象に、河床掘削などの河川改修工事が及ぼす影響を調べ、対策を検討する。このため、「広域河川堀川改修工事に伴う松重橋影響対策検討及び設計業務」の委託に向けた一般競争入札手続きを進めている。同業務の中で、対策工の詳細設計まで詰めたい考えだ。
同局は堀川を対象に、雨水の流下能力を向上させるため河床掘削などの流下対策を順次、下流側から進めている。松重橋が架かるのは名古屋市中区松原付近で、かつて松重閘門を介して堀川と中川運河が接続していた箇所の付近。河床掘削とともに落差工の整備を計画しており、橋に及ぼす影響の低減策が必要になっている。
今回の委託業務では、落差工上流側の計画河床高が変更されたことを受けて、落差処理や設置位置などを改めて検討。3案程度を抽出し、構造や施工性、維持管理のしやすさなどを踏まえて最適案を選ぶ。
その上で、落差工の設置と河床掘削を行った際の安定計算を実施。平常時と、レベル1地震の発生時をそれぞれ想定し、既設護岸と松重橋が受ける影響を検討する。
落差工・河床掘削による影響を踏まえ、橋台と橋脚、護岸の安全を確保するための対策案を練る。対策案についても3案程度の中から最適案を選び出し、落差工と対策工の詳細設計をまとめる。
一連の検討結果を踏まえ、護岸についても詳細設計を実施する。護岸工と落差工、対策工などを含めて1工事で施工できるような施工計画を策定。概算工事費を算出する。
堀川では屋形船などの観光船舶が運航しており、工事に際しては配慮が必要になる。
今回の委託業務とは計画河床高の設定が異なるものの、対象範囲では落札工・対策工の検討業務を実施済み。落差工については、松重橋下流への鋼矢板打設による落差設置と、上下流への護床ブロック設置による床止め工を検討。影響対策では、橋脚保護矢板の打設や、河床洗掘防止に向けた護床工などを考えていた。今回、落差工と対策工を改めて検討する際は、こうした過去の検討成果も活用する。
提供:建通新聞社