高知県は、高知新港の可能性や競争力向上のため「第2期高知新港振興プラン」を11月中にも取りまとめる。目指す姿として物流面で「四国における東南アジア方面への輸出拠点(コンテナ貨物)」と「地場産業を支える物流拠点(バルク貨物)」、観光面で「西日本太平洋側における国際クルーズ拠点」、物流と観光を調和させる「物流およびクルーズ観光が高次に共存した港湾」の四つを設定、2021年度までの期間でさまざまな取り組みを進める。
コンテナ貨物の四国における東南アジア方面への輸出拠点に向けた戦略では、コンテナ貨物の充実に必要な施設整備を進める。まず既設のガントリークレーンが供用後20年近く経過し老朽化が進行、コンテナ船の大型化や新たな外航航路の誘致に対応するため機能を向上させる。新設するクレーンの規格は岸壁本体の安定性検証結果に基づき、国内のマイナス12b岸壁に設置されているものを参考に検討、既設のクレーンは長寿命化しつつ運用する。
また、さらなる大型コンテナ船が就航した場合に備え、入港し荷役を行う7−2岸壁のコンテナヤード拡張や岸壁の増深など効率的な利用方法を検討する。
バルク貨物の地場産業を支える物流拠点に向けては、増加するバルク貨物に対応したヤードを拡張する。石灰石取り扱い貨物量の増加に必要な野積み場形状・面積を検討し、港内道路を付け替え、ヤードを段階的に拡充させる。またバルク船の大型化に対応した荷役機械の機能向上も進める。
西日本太平洋側における国際クルーズ拠点に向けては、クルーズの増加に対応した受け入れ態勢を充実させるため、客船ターミナルを建設する。規模は鉄骨造平屋約1400平方b、年内にも一般競争を公告する見込み。
また安全で快適な寄港を実現するため、東第一防波堤、東第二防波堤の整備促進と南防波堤の早期着手に向けた国への政策提言に取り組み、客船から岸壁への動線としてボーディングブリッジなどの整備を検討する。
物流やクルーズ観光が高次に共存した港湾に向けては、岸壁利用方針の策定、港内道路の混雑解消、バルクヤードの環境改善、土地利用計画の再編を進める。このうち港内道路の混雑解消への対応として、港内道路のループ化を行い、車線数拡充や出入り口新設の改良を検討する。
県では12〜16年度の5カ年で「第1期高知新港振興プラン」を進めてきた。14年にはメインバースが供用開始し、16年度から外国客船の寄港が急増するなど、一定の成果は見られたが、数値目標については未達成の項目も多かった。第2期プランでは、高知新港が県経済に果たす役割や環境変化を踏まえ、高知新港のポテンシャルを生かし地産外商を拡大し、県勢浮揚につなげたいとしている。
提供:建通新聞社