香川県は、10月18日までに県内の水道事業者が抱える、さまざまな課題に対応し、水道の理想像、方向性や実現方策などを示した「県水道ビジョン(案)」をまとめた。11月17日まで県民からの意見募集を踏まえて12月中旬にも同ビジョンをまとめる。県では現行の水道整備基本構想に沿って、増大する水需要に合わせた水道整備を促進してきた。2018年4月から業務開始を目指す県内の水道広域化や、国の「新水道ビジョン」を踏まえた都道府県水道ビジョンの策定方針を受け、これまでの基本構想を全面的に見直し、新たな水道ビジョンを策定することにした。同ビジョンは18年度以降、水道事業広域化後の企業団が策定する、水道事業ビジョンや、直島町水道ビジョンに示す具体的な水道施策に反映される。また、24年度の中間年度に進捗状況の評価と課題を整理し必要に応じて見直すフォローアップも行う。
水道ビジョン案によると、30年度(24年度を中間年度)を目標年度に、県内全域で「安全」、「強靱(きょうじん)」、「持続」の三つの観点から現状分析と評価を実施。業務指標の全国比較により課題を明確化した。
例えば「安全」では、「鉛製給水管の使用世帯割合」や「クリプトスポリジウム等対策状況」、「強靱」で「基幹管路、浄水施設、配水池の耐震化率」や「地震対策マニュアル策定率」。「持続」で「自己保有水源率」、「法定耐用年数超過浄水、管路率」や「アセットマネジメント率」などの現状の指標を挙げ、全国値より劣る項目から、人員、財源不足や経営基盤の強化などの課題を示した。
水道水の安全性を確保するため、水質管理体制の充実では、18年4月からの水道事業の広域化によるスケールメリットを生かした効率的な人員配置や専門性を持った職員を確保。配水などの更新に合わせた計画的な敷設替えで、鉛製給水管の早期解消を図る、などとした実現方策を示した。水源汚染リスクへの対応でも広域化による一元管理でリスクのある水源の見直し検討や、他の水源からの水融通が行える必要な体制整備と強化を盛り込んだ。
水道施設の耐震化を推進するために、広域化に伴い交付される「生活基盤施設耐震化等交付金」が、積極的に活用できることや、渇水時の安定した水道水の確保では、広域化による連絡管整備などでの地域間調整の他、建設中の椛川ダムの整備や香川用水調整池(宝山湖)の有効活用、渇水時に一時的な水道用水の確保を行うための井戸掘削や改修、連絡管の敷設などについての支援をビジョンに示した。
水道技術の継承と確立、経営基盤の強化や水道料金の平準化でも、水道事業の広域化がこれらの課題に対し、実効性の高い実現方策であることを強くにじませている。
提供:建通新聞社